ラーメンに県産メンマを! 放棄竹林対策にも一役 メンマ用の乾タケノコ作り講習会
「ゲゲゲの鬼太郎」や「るろうに剣心」など、映画やCMなどの撮影も行われる広大な竹林。この竹林を所有する栃木県宇都宮市のタケノコ農家で、ある講習会が開かれた。それは、ラーメンには欠かせない「アレ」を作るための乾タケノコ作りの講習会。
■竹の多い日本 国産メンマはほとんど流通していない
栃木県特用林産協会が主催する講習会が開かれたのは宇都宮市にある「若山農場」。およそ21ヘクタールの竹林があり、普段は春のタケノコ掘りや料亭への出荷、水煮などの商品を販売している。近年はその幻想的な竹林が注目され、夜のライトアップや映画などのロケ地として使用されることも多い。
その若山農場に集まったおよそ40人の参加者が熱心に耳を傾けるのは、講師の若山太郎社長が説明するメンマ用の「乾タケノコ」の作り方だ。
この農場で作られた乾タケノコを実際に業者が味付けした「メンマ」の試食も行われた。「つまみにいいね。」「輸入メンマに比べ歯切れがいい。確かに匂いはないですね」なかなか好評だ。
国内で販売されているメンマの9割以上が「中国産」といわれるほど国産メンマの流通量は少ないという。メンマの原材料となる「麻竹(まちく)」が国内ではほとんど採れないからだ。
■放置すればすぐ成長 利用価値ないのに廃棄作業は重労働
説明の後は実際に竹林へ足を運び、2メートルほどに伸びて「春のタケノコ」としては収穫期を過ぎた「若竹」を切り出した。スタッフがその若竹の皮をむき、切り分ける作業を見学した後、参加者も体験。
実際にはこの後、あく抜きや乾燥の工程を経て「乾タケノコ」が完成する。それを業者に販売した上で味付けなどの処理をした後、商品として出荷されるという。
参加者のほとんどは竹林所有者だ。「(成長が)早いです。毎年掘るのが大変だったので…これだと少しラクかな。今日からやります!」と満足な様子だった。
この講習会は希望者が殺到し、締め切り前に定員数を超えたことから、参加できなかった方には乾タケノコの作り方の資料を送付するという。
■「夢は県内のラーメン店に県産メンマ」
若山社長にこの取り組みのきっかけや夢を聞いた。「全国では竹が厄介者になっている。放置竹林を解決したい。せっかくなら有効活用したい」「栃木県はラーメンが有名な県でもありますし、特産になれるよう広めていきたい」と力強く語った。
器の中の一杯のラーメン。そのスープや麺、野菜やチャーシューは国産なのに、メンマだけが中国産というのがほとんどのようだ。
ラーメン店舗数は全国でも上位の栃木県。いつか県内のラーメン店で県産メンマが盛られたラーメンを食べられる日が待ち遠しい。