「見られたら恥ずかしい。一生言わない」今も続く被害女性の後悔 一度は断るも…“ルフィ”グループの詐欺被害に
ことし上半期、特殊詐欺の被害は全国で去年に比べ大きく増加しました。3年前、いわゆる“ルフィグループ”の特殊詐欺被害にあった女性が初めて取材に応じ、今も続く“後悔”を語りました。
■突然、自宅にかかってきた電話 詐欺を疑い一度は断るも…なぜカード渡した?
“ルフィ”Gの特殊詐欺被害者
「なんであの時あんなことしちゃったんだろう。後悔しきりですけど」
神奈川県に住む70代の女性。3年前、キャッシュカードを盗まれ、現金90万円を引き出されました。
実はこの特殊詐欺、“ルフィ”が指示役とされる強盗事件でも逮捕された渡辺優樹容疑者をトップとする特殊詐欺グループによるものでした。
その電話は、突然、自宅にかかってきたといいます。
『あなたのキャッシュカードの暗証番号が知られている』
『利用停止手続きをしなければならない』
相手は警察官を名乗り、キャッシュカードを自宅に向かう男に渡すよう指示。実際に男が訪れましたが……
“ルフィ”Gの特殊詐欺被害者
「これはもしかすると詐欺じゃないかなって思ったから、『もう嫌です』って言って帰したんですよ」
詐欺を疑い、一度は断った女性。しかし数十分後、再び訪れた男にカードを渡してしまったといいます。
──なぜカードを渡してしまった?
“ルフィ”Gの特殊詐欺被害者
「家を知られてしまったのが怖い。怖かったっていうのと、冷静さを欠いていた」
被害にあった口座の通帳には、20万円が引き出された記録がありました。さらに、被害を保険によって一部補填された入金記録は、黒く塗りつぶされていました。
──なぜ塗りつぶした?
“ルフィ”Gの特殊詐欺被害者
「子供に見られたら恥ずかしいなと。きっと(家族にも)一生言わない。そのまま墓に持って行く」
女性は今も後悔を抱え、苦しんでいるといいます。
■逮捕された“ルフィグループ”の男『組織からの脅しが怖かった』『捕まった時、助かったって…』
一方、この女性への特殊詐欺に関わった人物。“ルフィグループ”のメンバーとしてフィリピンで犯行に及び、帰国後に逮捕された男は、裁判でこう語りました。
逮捕された男
『組織からの脅しが怖かった』『捕まった時、助かったって思った』
さらに拘置所で日本テレビの取材に応じた際には、後悔と被害者への謝罪を口にしました。
逮捕された男
『フィリピンでのことは思い出したくもない』『振り返るのは被害者の方に謝る時だけにしたい』
男には懲役5年6か月の実刑判決が言い渡されました。
■今も続く被害者の“後悔” 検挙されたのはほとんど末端メンバー…特殊詐欺の被害は後を絶たず
ことし上半期、全国で特殊詐欺に関与したとして検挙されたのは1086人。このうち、実行役の受け子は709人、出し子は101人と全体の75%を占めます。それに対して、指示役などの主犯格はわずか28人。つまり、検挙されたほとんどは闇バイトなどで集められたグループの末端のメンバーです。
後を絶たない特殊詐欺の被害。全国の被害件数はことし上半期9464件と、去年を大きく上回りました(前年比:約2000件増)。
“ルフィ”Gの特殊詐欺被害者
「お金より悔しさよね。わかってたつもりなのに、詐欺にひっかかってしまったという悔しさ」
今も後悔は続いています。