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“日本の神々”無形文化遺産に…課題は?

2018年12月6日 16:34
“日本の神々”無形文化遺産に…課題は?

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「ユネスコ無形文化遺産、ナマハゲなど来訪神が登録」。雑誌「Discover Japan」の編集長・高橋俊宏氏に聞いた。

先月末、ユネスコの委員会で「来訪神:仮面・仮装の神々」が無形文化遺産に登録された。今回、登録されたのは、秋田県男鹿市の「ナマハゲ」、沖縄県宮古島の「パーントゥ」、鹿児島県甑島の「トシドン」など10件。

ネット上では「日本のナゾ多い神が、世界に認められた」「観光客増えると神秘性が失われる」「行事が途絶えないように願う」といった声が聞かれた。


――このニュースをどうご覧になりましたか。

「エキゾチックジャパン!」ですね。「トシドン」とか「パーントゥ」を見ると、どこの国のお祭りなんだと思いませんか。


――見た目もナゾですし、神秘性がありますね。

私も個人的に民俗学などが好きで調べていたんですけど、島の特集の時にも紹介したことがあります。民間に伝承され、守られているというのは面白くて、南からいうと「ボゼ」などはポリネシアとかの影響を受けているように思えます。一方で「ナマハゲ」もいますが、ちょっと見ると共通点もあります。

昔、柳田国男さんという民俗学をたてた人がいて、文化は京都を中心に同心円状に広がっていたというような見解があって、京都を中心にしていくと「ナマハゲ」と鹿児島あたりをつなぐと、結構同じような距離感になると思うんですね。ひょっとしたら日本の真ん中でもこういうことは行われたかもしれないし、もしくは日本のルーツとして北から南から来た人たちを拒むことなく受け入れて、ああいう形にしてお祭りを残すとか、そういったところで日本人の感性の寛容性とか、いろんなことを見て取れると思うんです。

数々の神様がいるというのは日本特有だと思うんですが、外国人から見てどのような印象を受けるんでしょうか。外国からいうと、例えばキリスト教やイスラム教のように一神教の国がほとんどなので、日本みたいに八百万神(やおよろずのかみ)がいるということ自体が、本当に「エキゾチックジャパン!」ですね。「ナマハゲ」は次の年末に、たぶん張り切られるでしょうね(笑)。


――そうなってくると観光客が来ることに関して、どうやって受け入れて行くのかなという疑問があるんですが。

ああいうお祭りって実は、「奇祭」と言われていまして、あまり表に見せていけないとかあるんですが、見せられる範囲でと。いい文化に触れることで、「この祭りを守らなければならない」と思う人が出て、後継者の不足なども問題になってますが、そういうことの解決にもつながっていくといいなと思います。


――見に行く人のマナーも大切になってきそうですね。

そうですね、おっしゃるとおりです。


■高橋俊宏プロフィル
雑誌「Discover Japan」の編集長、高橋俊宏氏。「日本の魅力、再発見」をコンセプトに掲げ、雑誌をつくる高橋俊宏氏。岡山出身で幼少期から父に連れられ美術館に足を運び、絵画や備前焼、刀剣などの伝統文化に触れてきた。大学卒業後、「雑誌づくりを」と出版社に就職したものの配属されたのは広告営業。編集への思いが捨てきれず、26歳でエイ出版社に転職する。いくつかの雑誌編集に携わった後、「人の暮らし」と共にある建築やデザイン、インテリア雑誌を担当するように。さらに、日本のデザインやライフスタイルに注目。日本の魅力を再認識してもらうため、雑誌「Discover Japan」を創刊した。それから10年。英語の電子書籍を出版するなど日本を発掘し、その魅力を世界に発信し続け、2018年11月に「株式会社 Discover Japan」を設立した。

【the SOCIAL opinionsより】