巨大地震起きたら…行動を想像し「小説に」
「南海トラフ巨大地震」。太平洋沿岸を中心に激しい揺れや大津波に襲われ、東日本大震災を大きく上回る被害が想定される。高知県のある中学校では生徒一人一人が津波からどう避難するかを想像し、小説にまとめている。見えてきたものは?
高知県土佐清水市の中学校。生徒たちが、防災小説に取り組んでいる。南海トラフ巨大地震が起きたらどうなるのか、それぞれが想像して書いた。
南海トラフ巨大地震とは、駿河湾から日向灘で起きる地震。激しい揺れや大津波で最悪の場合、32万人が死亡すると想定されている。四国最南端にある港町、高知県土佐清水市。最悪の場合、全国で最も高い34メートルの津波が想定されている。
市では、巨大な津波避難タワーを建設。地震発生から数分で津波が襲来するということで、地震が起きたらすぐに、この津波避難タワーを目指すことになる。しかし、34メートルという予想があまりにも高く「逃げても助からない」と、避難を諦める人も出てきたという。
3年生の岡田彩央さん。海の近くに家族5人で住んでいる。岡田さんの小説には、行政が指定した避難所に続く神社の階段が出てくる。
「避難所につくまでには、長い階段があり、お年寄りには大変なところだ」
岡田さんは、いつもこの階段が気になっていた。
岡田さん「(避難所の天満宮は)階段がすごく急なので、お年寄りの人たちを、特に足が不自由なお年寄りを、どう運ぶかってことが気になっていて」
その神社の階段は全部で48段。この階段を実際に上ってみて、お年寄りの苦労が分かった。岡田さんは小説で急な階段を懸命に上り、避難する人々を描いている。
「お年寄りの人たちには大変なところだ。上る人はあきらめていないか、そういう事が気になっていた時、私の目には2人の男性がおばあさんを背負って階段を上っていく姿が映った。それも1組だけじゃなく何組も協力し合って避難所には多くの人が集まっていた」
岡田さんの家族も、小説を読んで気付いたことがあった。
岡田明子さん「中学生でここまで考えているのですから、自分も何ができるかなと」
慶応義塾大学の大木聖子准教授。土佐清水市の防災教育に携わり、防災小説を考案した。行政が作るハザードマップだけではわからない、身近な視点が盛り込まれているという。
大木聖子慶応義塾大学准教授「地域の方に読んで頂いた時に、ハザードマップを読んでも、そこまで感じなかったものが、防災小説を読んで『本当に来るんだ』と感じたという意見を頂戴しているので、それが地元の中学生の力かなって思う」
土佐清水市では、小学校でも防災授業を取り入れ、こちらの学校では、独自の防災ソングを作った。日本一高い津波が想定される港町で、子供たちの日本一高い防災意識を感じた。