ボール同士が衝突しないアート、なぜ制作?
8方向から行き交うボール。ぶつかることなく絶え間なく交差します。その規則正しい動きはCGのようにも見えます。
16個のボールが合間をぬって移動するさまは、まるでスクランブル交差点を歩く群衆のよう。電磁力でピストン運動するバネがグラウンドゴルフのボールをはじき、塗装された木のレール上を走ります。バネが動く時間を0.28秒ずつずらすことで真ん中の何もない空間上で交差が繰り広げられます。
これは「Movement act」というタイトルのアート作品。東京芸術大学の卒業展に出品されました。制作したのは、先端芸術表現科4年生の小野澤峻さん。ジャグリングのパフォーマーでもある小野澤さんは――
「自分がやっていることがパフォーマンスなのか、その現象がパフォーマンスなのか」「どちらなのかに興味を持った」「自分を引き抜いて現象だけを取り除くことができて、それを展示することができたら…」
バネの力やボールには個体差があるため思い通りに動かすのは至難の業。最初は4方向で動きを調整。
小野澤さん「テストで動画を撮っては、原因を解明して、そこを1か所なおしては動画を撮ってという」「紙やすりで(レールを)0.1ミリ削って、テストの繰り返しでした」
努力が実り、この作品は学科で1点だけ選ばれる大学の買い取りになりました。
小野澤さん「1人のパフォーマーとしてわが子を育てる気持ちで」「毎日毎日やすりをかけて動かしてきたので、正直寂しさはありますが、さらに精度を上げたクオリティーの高いものを作っていけたらと思います」
【the SOCIAL viewより】