返礼品の“カニ”送れず…市が謝罪 何が?
ふるさと納税で目玉の「返礼品」だったカニ。しかしある自治体が
「予定通り送ることができない」とおわびする事態に追い込まれた。一体何が起きているのか、現地へ向かった。
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目の前を日本海が広がる秋田県にかほ市。「鮨ダイニング鳥海山」で冬限定で出しているのは冬の味覚・ズワイガニを使った料理。ズワイガニをぜいたくに使い、カニ汁とセットになったこのメニュー。かにみそもたっぷり乗ったズワイガニの丼(税込み1674円)。
鮨ダイニング鳥海山・佐藤佳司料理長「ぱさつき感がないジューシーな甘み、うま味があるカニですね」
しかし、このズワイガニを巡ってある事態が起きている。にかほ市のホームページには、ふるさと納税一部返礼品(ズワイガニ)配送遅滞のお知らせというものだった。一体何が起きているのか―。
私たちは21日、にかほ市役所を訪ねた。
にかほ市役所 まちづくり推進課・高橋潔主任「188人の寄付者の方をお待たせしてしまっている状況」「船が出られないことには(カニが)とれないので、これが遅れている原因です」
にかほ市のふるさと納税の返礼品の一つ、ズワイガニが寄付した人の半分以上に配送できない状況になっているという。ズワイガニが配送できない、その理由の一つが…。
ズワイガニ漁師 金浦港松宝丸・佐藤正勝船長「悪天候が続いていて、12月の終わりからずっと今も漁に出られない日が多いですね」「(Q漁獲量は?)それは当然下がってきますよね」
天候不良の日が続き、漁に出られないことが原因だという。さらに、市の担当者は別の理由もあげている。
にかほ市役所 まちづくり推進課・高橋潔主任「11月から12月まで出品したところ、288件の注文がありまして、昨年度は5件だったんですね。なので57倍に上がっていまして」「(返礼品全体で)ダントツでズワイガニが今年は一番多いです」
市の想定以上の注文数がきたという。
そもそも秋田県は、ズワイガニの漁獲量が他の県と比べそれほど多くない地域。注文数が増えたことで、対応できなかった可能性もある。さらに…。
にかほ市役所 まちづくり推進課・高橋潔主任「(今年度は)11月からふるさと納税ホームページに掲載したんですね。11月、12月は寄付の駆け込み期でもあるので、そういう効果もあって伸びたのかなと」
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ふるさと納税の返礼品を巡っては、過去に別の場所でもトラブルが起きている。青森県平内町では2017年、返礼品にしていた「活ほたて」の漁獲量が減ったため、途中で受け付けを中止した。その年の夏に強い潮流などの影響で、養殖場のホタテが死んでしまったことが原因だという。
ふるさと納税の返礼品が送れないというトラブル。春が近づくにつれ天候が落ちつき、漁に出られる予定だが、にかほ市は、ズワイガニが十分な量確保できなかった場合、別の返礼品を選んでもらうなどの対応を考えているという。