皇太子さま59歳の誕生日 会見全文2/4
(宮内記者会代表質問)
【問2】
天皇陛下は4月30日に退位されます。象徴としての務めを果たしてこられた天皇陛下と、支えてこられた皇后さまに、どのような思いを抱かれていますか。また、退位という形でのお代替わりについては、殿下はどのように捉えていらっしゃいますか。
殿 下
天皇陛下には、御即位されて以来、長年にわたり、日本国憲法の天皇の規定と、歴代の天皇の歴史に思いを致され、常に国民の幸せを願い、国民に寄り添い、苦楽を共にしながら、象徴天皇としてのお務めを果たされる中で、そのあるべき姿について全身全霊をもって模索をしてこられました。また、皇后陛下には、そうした陛下のお気持ちを心から共有され、常に陛下をお支えになってこられました。そして、陛下には、そのような皇后陛下を敬愛され、両陛下で御一緒に歩みを進めてこられました。こうした両陛下のこれまでの歩みに思いを致す度に、両陛下に対して深い感謝と敬意の念を覚えております。両陛下には、今後とも末永くお健やかにお過ごしいただけますよう、心よりお祈り申し上げます。
また、両陛下がこの30年余り、一つ一つの行事を大切に思われ、真摯にお務めに取り組んでこられるお姿を、私も、そして雅子も、間近に拝見する機会を頂いてまいりました。そのようにお側(そば)で学ばせていただいたことの幸せを改めて噛(か)み締めるとともに、両陛下のお心遣いに感謝申し上げます。そして、そのお姿をしっかりと心に刻み、自己の研鑽(さん)に励みつつ、今後とも務めに取り組んでまいりたいと思います。
私自身について言えば、両陛下のお手許(もと)で温かい家庭において慈しみを受けながらお育ていただき、また、音楽やスポーツの楽しみを教えていただいたり、留学といった得難い経験をさせていただいたりしたことが、自分にとっても大きな糧となっていることに深く感謝をしております。
退位という形でのお代替わりについての質問ですが、陛下の御退位については、以前もこの場でお話したとおり、陛下が「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないか」と御案じになられていることに、とても心を揺さぶられましたが、そのようなお考えに至られた背景については、十分にお察し申し上げます。私としましては、こうした陛下のお考えを真摯に受け止めるとともに、常に心にとどめ、これからの務めを果たしていく考えです。
【問3】
ご家族についてお伺いします。雅子さまは着実に活動の幅を広げられていますが、皇后になられたあとの活動の見通しや、殿下が感じられた変化についてお聞かせください。また、春に高校3年生になられる愛子さまの今後の進路や将来の活動について、ご家族でどのような話をされていますか。
殿 下
雅子は、この1年も、体調に気を付けながら、公私にわたりできる限りの務めを果たそうと、種々の工夫を凝らしつつ一生懸命に努力を積み重ねてきております。そうした努力の結果、昨年12月の誕生日に際しての感想の中でも述べておりますとおり、活動の幅が、少しずつではありますが、着実に広がってきていることを、本人もうれしく思っておりますし、私も共にうれしく思います。
その過程では、訪問先などで多くの方々から笑顔で温かく迎えていただいたことは、雅子にとって本当に大きな支えとなっておりました。私も雅子と共に、改めて国民の皆様に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
一方で、着実に快復してきているとはいえ、依然としてその途上にあり、体調には波もありますので、雅子には、引き続き焦ることなく、少しずつ活動の幅を広げていってほしいと願っております。
今後は、自身の置かれる立場が変わることで、公務も多くなる中、一朝一夕に全てをこなせるようになるわけではないと思いますが、雅子は、これからも体調に気を付けながら快復を目指して更に努力を重ねていくと思いますので、国民の皆様には、引き続き快復を温かく見守っていただければと思います。雅子には、これまで、私や愛子のことにもいろいろと良く心を配り、私の活動を支えてきてくれています。私も、できる限り力になり、雅子を支えていきたいと思っております。
愛子は、この1年、英国イートン・カレッジでのサマースクールや秋の関西地方への修学旅行などを経て、一段と成長を遂げたように感じております。青春期には誰しもが経験するように、こうした得難い経験を通じて、自分の世界が大きく広がったものと思います。
これからの数年間は、自分自身が、将来について、いろいろと思いを巡らせる時期になりますので、お友達や先生方など周りの方々と語り合い、自身での思索を深めていってほしいと思います。
イートンでのサマースクールや修学旅行、学校の課題など、普段から、愛子から私たち二人にいろいろと話をしてくれていますし、大事な事柄については、その都度相談に来ることもあります。今後とも、大学への進路といった将来のことやその時々の悩みなどについて、相談を受けることもあると思いますが、親として、本人の気持ちをしっかりと聞きながら、良い助言ができればと思っております。