「LGBT」への理解は深まっているか?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「『LGBT』への理解は深まっているか?」。日本テレビの報道番組「news zero」の白川大介プロデューサーに聞いた。
電通ダイバーシティ・ラボが、LBGTに関する調査を行った。「LGBTとはセクシュアル・マイノリティーの総称のひとつということを知っていますか」という質問に対し、「知っている」と答えた人は、2015年の調査では37.6%。2018年の調査では68.5%となった。特に女性では70.9%。20代では70.6%と女性や若い世代に、より浸透している傾向が表れている。
また、76%の人が、LGBTという言葉の認識にとどまらず、「LGBTについて正しい理解をしたい」という認識を持っていることも分かった。
――白川さん、いかがでしょうか。
私は自分がゲイの当事者であることもあって、社会部の記者時代に性的マイノリティーの方々の取材をいくつか担当しました。
性的マイノリティーの人というのは「L」「G」「B」「T」の4つに単純に分類できない方もいらっしゃるので、そこには注意が必要だと思うのですが「LGBT」という言葉が広がり、一般の方にも理解が深まったことは良いことだと思います。そんな社会の変化について、私が注目しているポイントは「2つの車輪」です。
――これはどういうことですか。
社会の変化をとらえるときに「2つの車輪」に例えると分かりやすいと思っています。
1つ目は「制度の車輪」です。例えば、法律ができたりとか、裁判の判決が出たりすると分かりやすく社会が変わった感じがすると思います。例えば、東京・江戸川区で来月から同性のパートナーシップ制度が導入されることが分かるなど、社会制度の面からの変化が広まっています。
――そして2つ目の車輪は何でしょうか。
2つ目は「文化の車輪」といえると思います。先月、授賞式が行われたアメリカのアカデミー賞ではクイーンのフレディ・マーキュリーさんの生涯を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」という映画が最多4冠に輝きました。杉野さんもご覧になったんですよね。
――見ました。本当に心が震える映画でした。
フレディ・マーキュリーさんが改めて偉大なアーティストだったということがラミ・マレックさんの熱演もあり、クイーンのことを直接知らない若い世代にもすごく伝わった映画だったと思います。このように映画などカルチャーの面から多様性について理解が進んでいくことというのはすごくいいことだと思っています。
しかし一方で、気を付けなくてはいけないこともあります。例えば、フレディ・マーキュリーさんのような偉大なる才能を映画で見たとして、そのときに性的マイノリティーの人というのは、才能とかセンスがあってすごくいいですね、というのをたまに耳にします。
ちょっと立ち止まって考えてもらいたいのですが、性的マイノリティーの方の中には大変な才能や能力を持っている人はたくさんいます。ただ、性的マイノリティーでない人でもそうであるように、性的マイノリティーも、ごく普通の“平凡”な人がほとんどです。
ですので本来、一人一人の人間というのは才能のありなしで評価されるべきではないと思います。「特殊な能力がある特別な人」としてではなく「どこにでもいる“普通”の存在」として、社会の理解が進んでいけばよいなと思います。
――映画もそうでしたが、最近はニュースでも文化面でも「LGBT」が話題になることが増えていることについて、白川さん自身はどう思われますか。
私自身も「news zero」という番組を担当していまして、そのニュースでこの「LGBT」を伝えることも多いのですが、一方で文化の面で、そういったメッセージ性のあるものをご紹介するときは、きちんと伝わるようにお伝えしたいなと思って番組作りをしています。
【the SOCIAL opinionsより】