10年後、日本の宇宙産業はどこまで進む?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「2030年の宇宙産業は?」。インターステラテクノロジズ社長・稲川貴大氏に聞いた。
内閣府が打ち出した「宇宙産業ビジョン2030」によると、国内の宇宙産業全体の市場規模を現行の1.2兆円から2030年代早期には2.3~2.5兆円規模に成長させるとしている。特に今後、放送や地球観測などに使う衛星サービスの分野が大きく成長していく見通しだ。ネット上では「宇宙開発が進むには商用化が必須条件」「宇宙に行ってみたいなあ」「アメリカの民間に比べて遅れている」などの声が聞かれた。
――まずフリップをお願いします。
『今の宇宙が宇宙ではなくなる』と書きました。宇宙って、自分たちの生活圏より、もっと先の場所のことを宇宙と呼んでいると思うんですが、2023年くらいまでいくと、この経済圏とか生活に影響のある範囲――地球の近くぐらいは生活圏になるんじゃないかと思っています。もっと先の深宇宙と呼ぶような場所が宇宙と定義されていくのではないかと思っています。宇宙の境界のようなものが先に広がるような気がしています。
――月のあたりまでは生活圏になるのではないかということですね。先ほど数字が出ていましたが、規模を拡大する数字は、多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
グローバルで見たときは、宇宙はすごく伸びている産業で、この中で内閣府が出している数字というのは、そんなに大きくない数字だとは思っています。ただ産業規模として、数兆円規模で大きくなるということは、民間での需要が増えていかないとこの数字は達成できません。民間企業のこれからの活躍というのが、期待されているなと思います。
――JAXAがようやく民間に窓口を広げたというところですよね。
そうですね。アメリカの場合、1990年代から民間に市場をどんどん開放していって、民間が活躍できるお膳立てをしてきたんですが、日本はようやく、ここ数年でそういう機運になってきたということで、そういう意味でまだ20年、30年遅れているので、そこからどうやってちゃんと追いつけるか、産業が育っていけるのかというところが大事な観点ですね。
――何がポイントになってくると思いますか。
これから私たち以外の民間ベンチャーが立ち上がってくるという部分と、大企業が“宇宙は産業をする場所”と思って参入してきて、競争が起こるなどして、市場のパイが広がるというのが大事だと思います。
――2040年には、月に人が住むようになるとも言われていますが。
それは本当になると思います。産業圏として広がって、ビジネスとして回っていけば、国や民間のサービスで、月旅行などができるようになると思います。
■稲川貴大氏プロフィル
インターステラテクノロジズ社長。民間企業単独での日本初のロケットの打ち上げを目指し開発を行ってきた。これまでに2度チャレンジするも失敗。2019年5月4日に3度目の挑戦。「MOMO3号機」は高度113キロの宇宙空間にまで上昇。打ち上げは成功し、日本初の快挙を成し遂げた。今後はロケットの精度をあげ、超小型衛星打ち上げ市場への参入など本格的な宇宙ビジネスに乗り出したいとしている。
【the SOCIAL opinionsより】