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公園で700の遊具が使用禁止に なぜ?

2019年6月17日 18:44
公園で700の遊具が使用禁止に なぜ?

公園に設置されたすべり台やブランコ。天気の良い日には子どもたちにとって格好の遊び場になる。しかし、いま、ある場所で、およそ700もの遊具が一斉に使用禁止となり、保護者、そして子どもたちから驚きの声があがっている。

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長いすべり台やアスレチックで遊ぶ子どもたちがいる東京都内の公園で、こんな質問をしてみた。

Q.もし、遊具が一斉に使用禁止になったら?

保護者「全部?それは困る!」

保護者「ちょっとあ然としちゃう。そうなったら」

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しかし、その“あ然”となる事態が実際に起きている。現場は“晴れの国”、岡山。

市内の公園を訪れると、大きな遊具が立ち入り禁止のテープでぐるぐる巻きになっていた。そばにあるすべり台にも禁止のテープが貼られている。

同じ現象は、ほかの公園でも起こっていた。そこでは、7つある遊具のうち5つが使用禁止という異常事態。

保護者「突然だったのでビックリ」

保護者「急に使えなくなるのは混乱というか」

男の子「さみしい…。いま遊具使わずに遊んでいる。走ったりして」

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岡山で、何が起きているのだろうか。公園を管理する市役所にワケを聞いた。

岡山市庭園都市推進課・公園緑地担当課長 森谷和政さん「構造上の不備によりまして、危険と判定された遊具について、使用禁止にしている」

市は、市内463か所の公園のおよそ1800基の遊具の安全点検を実施。すると、そのうちのおよそ700基が危険だと判明し、今年3月から一斉に使用を禁じたという。

具体的に、どんな危険が潜むのか。市によると、例えば、すべり台は、降り口に手すりがついているが、バッグなどが引っかかった場合、首が絞まる恐れがあるという。

また、別の遊具では、子どもが輪の中で足を滑らせた場合、頭が引っかかり、宙づり状態になるという。

一見、危険がなさそうな鉄棒も、握り棒が回り、転落しやすくなっているため使用禁止にしたという。

岡山市・担当者「劣化が進んでいて、固定ができていない状態で危ない」

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消費者庁によると、遊具による子どもの事故は2015年までのおよそ6年間で、1518件も発生。特に事故が多いのは、すべり台で440件。次に、ブランコ233件、鉄棒141件と続く。

全国で事故が多発する中、岡山市は、今回危険だと判明した700基をどうするか検討していたところ、今年3月、国が全国の自治体に遊具の安全管理を徹底するよう要請。

それをうけ、岡山市は、危険遊具700基の使用を禁止し、大規模補修に踏み切った。

しかし、保護者からは、こんな声が…

保護者「いきなり(使用を)禁止にするとか、やり方がおかしな方法」

一斉に使用禁止となる旨の事前通知は一切、無かったという。

この点に対し、岡山市は…

岡山市庭園都市推進課・公園緑地担当課長 森谷和政さん「使用禁止措置を優先したことによって、(利用者への)周知が遅れたことは、大変申し訳なく思っています」

実は、市が利用者に告知したのは、遊具禁止の作業をほぼ終えた後。そのため、当時、「禁止理由がわからない」などの苦情が殺到したという。

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では、ほかの公園ではどのような手順をふみ、工事を行うのだろうか。都内の公園で聞いた。

大島小松川公園・サービスセンター長 豊福匠さん「1か月前ぐらいには、HPに使用禁止期間を告知します」

遊具の工事行う際、事前にホームページや看板などで告知。また、複数の遊具の同時工事を避けるため、職員による安全点検もこまめに実施しているという。

そのため、苦情などは、ほぼ寄せられないという。

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岡山市は、危険遊具700基のうち、すでに補修を終えた100基の使用を再開。残る600基については、遅くても来年度中に使用を再開させたいとしている。