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芸術文化の“体験”「その時、その場所で」

2019年7月9日 17:03
芸術文化の“体験”「その時、その場所で」

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「変わる芸術文化の“体験”」。雑誌「Discover Japan」の高橋俊宏編集長に聞いた。

文化庁が今年2月に調査した「文化に関する世論調査」によると過去1年間に鑑賞した文化芸術について、多い順に「美術」「映画」「音楽」となっている。

その中でも、ライブやコンサートなど「音楽」鑑賞が過去3回の調査で連続して増加しているのに対し、「映画」鑑賞は過去3回続けて減少を続けている。


――この調査から文化芸術に対する国民の消費行動についてどのようなことが読み解けるか、高橋さんのご意見をうかがいます。フリップをお願いします。

「一期一会」です。

「美術」とありましたが、アートというのはイベント性というのが高まっておりまして、イベント消費ということがいえるかもしれません。

今回、「Discover Japan」で特集した芸術祭、現代アートも体験型のもの、その場所に行かないと体験できないものが増えています。注目なのが8月23日に富山でシアター・オリンピックスという国際的にも、とても有名な演劇祭が日本にやってきます。

しかも、世界でやっているのですが、日本とロシアの2国で初開催されるんです。富山の利賀村というところで人口が500人に満たないところなんですが、ここに「スコット」という演劇集団がいます。主催されているのが鈴木忠志さんという劇団四季の浅利慶太さんと同期の方なんですが、その方が30年前から、こちらで演劇活動をしています。

(モニターに野外演劇場が映し出される)

『世界の果てからこんにちは』という演劇を、この野外演劇場で、そのときの季候とか、天気とかそれに合わせて演劇することがまさに「一期一会」の体験なんです。

今回シアター・オリンピックスの鈴木忠志さんが日本に誘致をされたというところでこちらはすごく象徴的な作品です。

富山はあと、宇奈月温泉でもロシアの最高峰の集団が演劇をやります。こちらも「一期一会」の体験ですね。


――ライブ感で、雨でどうなるんだろうとか、風が吹いてきたとかあると思うのですがそれをうまく利用するということですね。

それも含めて、その時、その場所でしか味わえない感動が、こちらで演劇として味わえるということですね。


――ただ一方で、映画鑑賞率が過去3回続けて減少ということがありますが、最近、映画館も変わってきていますよね。

そうですね。映画館は映画館で工夫をしていますよね。映画館に行かないと体験できないサウンドだったり、催しだったり、ライブ感がありますよね。


■高橋俊宏氏プロフィル
幼い頃から父の影響で絵画や備前焼、刀剣などの伝統文化に触れてきた。出版社で建築やデザイン、インテリア雑誌の編集を経て2008年に雑誌「Discover Japan」を創刊。日本文化の魅力を発掘、発信し続けてきた。そして、去年、そのブランド力を生かし、さらなる展開を視野に「株式会社ディスカバー・ジャパン」を設立。情報発信にとどまらず、日本文化の魅力をイベントや新規事業の開発に結びつける「日本文化のプラットフォーム」を目指す。

【the SOCIAL opinionsより】