シャッター商店街、活用への第一歩は?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「ますます深刻、増えるシャッター商店街」。長野県塩尻市職員で、空き家を活用したプロジェクト「nanoda」をしている山田崇氏に聞いた。
中小企業庁による商店街の実態調査によると、商店街1つあたりの空き店舗は2003年度が7.31%だったのに対し、2018年度は13.77%と、空き店舗の割合が増加している。
「シャッター商店街」についてネット上では「少子高齢化でシャッター商店街に」「空き店舗で店以外の仕組みができないか」「宮崎県日南市の商店街再生は有名」などの意見があった。
――フリップをお願いします。
『お掃除なのだ』と書きました。空き店舗が増えてきたときに、何かやろうという前に、廃虚になったわけじゃないんですよね。必ず大家さんがいたり、2階や裏に住んでいる人がいます。掃除だったら誰でもできるので、まずは掃除をさせてもらって、そこにどういう大家さんがいて、何に困っていて、どんな町になったらいいかを私たちは聞くきっかけづくりをやっています。
「nanoda」自体は、「○○なのだ」と言ったら何でもやっていいんです。空き家の掃除をする中で、そこに住んでいる人はどんな人か、何に困っていて、どんなことをやりたいのかを聞いたら、「お好み焼きなのだ」とか「お誕生日会なのだ」とか、日替わりでいろんなことをやっていこうという取り組みをしています。
そこに住んでいる人が確かにいるんですよね。駅や公共施設からも近いので、今は商店街というよりも“生活街”と私は感じています。住んでいる人たちの声を正しく聞いて、ちょっとやってみるということが必要なのではと思っています。
――いきなり大きなことをするというよりは、まずは目の前のできることからやっていくということですね。
あと、掃除をする中でうれしかったのが、地元――私の小学校の総合的な学習の授業になったんですよ。小学生だって1年生から掃除してるじゃないですか、掃除道具持って、空き家を自分たちで見て掃除して、こんなことをやりたいんだと言ったら、豚汁をつくって振る舞うということを小学生たちがやったり、小学4年生が自分たちで「子ども食堂」をやったりとか、そんなことが生まれてきてます。
――山田さんのまねをして、いきなりお掃除ってできるものでしょうか。
私が公務員だからやりやすかったというのは思います。いま1741の地方自治体がありますが、結構おかしな公務員が増えてきたので、まずは町のおかしな公務員を探して、一緒に行くというのがいいかもしれませんね。もちろん、私も紹介できますので。
■山田崇氏プロフィル
塩尻市役所の地方創生推進課シティプロモーションを担当。地域の課題は実際に現場に身を置いてみないとわからないと空き家を活用したプロジェクト「nanoda(なのだ)」を2012年4月よりスタート。その後、トークイベントで「元ナンパ師の市職員が挑戦する、すごく真面目でナンパな『地域活性化』の取り組み」というテーマで話したことが話題になった。各地での講演や大学講師、さまざまなプロジェクトのほか内閣府地域活性化伝道師としても活動している。先日、これまでの活動をまとめた著書「日本一おかしな公務員」を出版した。
【the SOCIAL opinionsより】