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返礼品は“1着1100万円スーツ”中央区の狙いは… “ふるさと納税”東京都は税収減

2024年7月17日 21:45
返礼品は“1着1100万円スーツ”中央区の狙いは… “ふるさと納税”東京都は税収減

東京・中央区が1着1100万円のオーダースーツ仕立券を返礼品として、ふるさと納税を募っています。そこには、税収の確保だけではない思いがありました。

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17日、都内で開かれたのは、ふるさと納税に関する説明会です。

トラストバンク代表取締役 川村憲一氏
「今回1兆円を超えている。1兆1000億(円)前後になるだろう」

昨年度の寄付額が、はじめて1兆円を超える見込みだといいます。2023年度は能登半島地震などの災害支援を目的とした寄付や、体験型の返礼品に寄付が増えたということです。

街で話を聞くと…

──ふるさと納税やっている?

自営業(50代)
「やってます。数日前にうなぎ、お米が届いた。食品ばかり選んでます」

ふるさと納税を毎年やっているという女性に目的を聞くと…

会社員(40代)
「地域を応援したい、特産物を知りたいっていう。東京は人もいる。企業もたくさんある。もっと地方は困っているだろうなという思い」

こうした寄付で税収が増え、うるおう自治体もある一方で、税収が落ち込んでいるのが東京都です。

東京都のふるさと納税にかかわる控除額は、2019年度の時点で800億円を超え、昨年度は1700億円近くにまで増えています。東京都に支払われる税金が、これだけ他の自治体へ流れてしまっているのです。

東京・中央区もそのひとつ。年々、流出する額が増えているといいます。そうした中、先週、受け付けを始めたのが寄付額3700万円、巨額の返礼品です。

いったい、どんな返礼品なのか、訪ねたのは東京の一等地、銀座に店をかまえる創業約90年の「テーラー」です。

銀座テーラーグループ・代表取締役会長 鰐渕美恵子さん
「これが、今回みなさまにご紹介しているものなんですが…」

記者
「高級感がありますね」

銀座テーラーグループ・代表取締役会長 鰐渕美恵子さん
「1着1100万円です」

記者
「1100万円…」

返礼品で用意したのは“超高級”オーダースーツの仕立券です。

銀座テーラーグループ・代表取締役会長 鰐渕美恵子さん
「これは糸から作るものですから、手間暇をかけて本当の1着を作る」

記者
「しっとりなめらかな質感があります」

厳選した糸を使って生地を織り、自社で職人が仕立てあげる“究極”のオーダースーツです。そのスーツを試着…というわけにはいきませんでしたが、特別に50万円のスーツを着させてもらうと…

記者
「軽いですね。すごくフィットした感じで、ごわごわ感を全く感じないような着心地です」

銀座テーラーグループ・代表取締役会長 鰐渕美恵子さん
「また作りに来てください」

記者
「こういうスーツが似合う大人になりたいと思います」

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超高額の返礼品、中央区の狙いは…?

中央区総務部総務課 小林寛久課長
「これはあくまでも中央区の魅力発信ということになります」

その一方で、中央区は現状のふるさと納税制度に反対する立場をとっています。現在の制度は地域を応援するなどの趣旨に沿っていないといいます。

中央区総務部総務課 小林寛久課長
「税の奪い合い・返礼品競争になっているような状況については、残念に思っています」

同じく現在の制度に反対する立場をとっている練馬区では、今年度、約50億円の減収が見込まれているといいます。区によると、これは学校1校を改築できるほどの金額です。住民へのサービス低下に直結しているといいます。

練馬区もふるさと納税を募っていますが、そこには「返礼品なし」の文字。現在の“返礼品争い”は制度の趣旨に反するとして、受け付けているのは2000円の寄付のみです。区は来年度以降、地域の活性化につながる特典を用意するということです。