厚労省が結果を公表 年金「財政検証」
厚生労働省は、年金制度の定期健診とも呼ばれ、5年に1度、行われる「財政検証」の結果を公表した。
政府は、40年働いた元会社員と専業主婦という「モデル世帯」の年金額について、「現役の働く男性」の平均月収の50%を上回るようにすると法律で約束している。
財政検証では、今後の賃金の伸びや働く人の数など6通りの経済のシナリオをもとに、将来の年金額を推計し、政府が約束した50%を確保できるのか、調べる。
今年度、モデル世帯の年金額は、ひと月22万円で、現役男性の平均月収35万7000円の61.7%。
今回の検証によると、経済成長率が0.4%と「中程度」の場合、2050年度の年金額は、現役男性の月収の50.8%と約束の50%ぎりぎりになり、その水準が2115年度まで続く見込み。
一方、経済が成長せず、マイナス0.5%の場合、2050年度には、46.9%となって、約束の50%を果たせず、2115年度には36.5%にまで落ち込む見通し。
根本厚生労働相は、今回の結果について、「経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き50%以上を確保できると確認できた。おおむね100年、持続可能と言える」と説明した。
今回の検証では、年金額を増やす方策として、より多くのパート労働者が企業の年金に加入できるようにしたり、働く高齢者が増える中、年金をもらい始める年齢の上限を現在の「70歳」から「75歳」まで延ばす案が示された。
厚労省は、今後、年金制度改正の議論を進める方針。