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原子力規制委が“福島第一原発の処理水”海に放出を認可 東電「風評被害」小さくするため…ヒラメ飼育へ

2022年7月22日 18:34
原子力規制委が“福島第一原発の処理水”海に放出を認可 東電「風評被害」小さくするため…ヒラメ飼育へ

東京電力福島第一原発の処理水を海へ放出する計画について、原子力規制委員会が22日、正式に認可しました。東電は、風評被害を小さくするため、この秋から、薄めた処理水を水槽に入れてヒラメなどを飼育し、影響を自ら調べようとしています。

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先月20日、福島第一原発では、廃炉作業が続く現場から海に出た作業船が、複数地点で海水を採取していました。東電などは今後、原発周辺海域での放射性物質の調査をさらに強化する計画です。

福島第一原発に溜まり続ける処理水。「トリチウム」という放射性物質は、除去し切れずタンクにため続けてきたため、敷地内をタンクが埋め尽くしていました。このため、国は来年春をめどに、処理水を海へ放出する方針を決めています。

放出の際、トリチウムは国の環境基準の40分の1、飲料水の国際基準の7分の1未満まで海水で薄めてから放出する計画です。東電は、沖合約1キロのところにまで、海底にトンネルを造って、そこから海中に放出するなどの具体的な計画を策定しています。

東電の放出計画の安全性を審査してきた原子力規制委員会は22日、最終的な「合格」を出しました。

更田豊志委員長
「原子力規制委員会として、今回、申請のあった東京電力の実施計画の変更認可を決定します」

これを受け、地元の人からは「大丈夫でしょ。処理水って言っても、きれいになっていると思いますので」「僕はよく分からない物質なので、(放出は)怖いなと思います」などの声が上がりました。

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中国政府は、日本の説明が不十分だなどとして計画に猛反発してきました。

19日の会見で、中国外務省の報道官は「日本政府の日本国内の民意と、国際社会の懸念を顧みないやり方は、全くもって無責任だ」と述べました。

22日には、韓国政府もコメントを発表しました。やや抑制的な内容になっています。

韓国政府
「外交チャンネルを通じて、韓国の立場と国民の憂慮を日本側に伝達する予定。適切に処分されるよう『両国、多者外交に努力を傾けていく』」

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そんな中、東電が異例の取り組みを始めていました。

東京電力HD・福島第一廃炉推進カンパニー リスクコミュニケーター 木元崇宏さん
「海の生物への影響をですね、調べるために、私たちもヒラメを飼っていこうということで。目がキョロキョロキョロキョロ動いていたり、ヒラメって不思議な顔してますよね。かわいい顔して」

福島第一原発の一角にあるプレハブの中に並んでいたのは、水槽です。中にいたのはヒラメ! 体長は30センチ程度。今年3月から飼育を始めていて、世話をしているのは東電の社員です。

東電はこの秋から、薄めた処理水を水槽に入れてヒラメなどを飼育し、影響を自ら調べようとしていて、そのための飼育訓練を本格化していたのです。

最初は、約140匹のヒラメがいたものの、寄生虫などのため55匹が死んでしまいました。養殖関係者の指導も受けながら試行錯誤の日々です。

東京電力HD 海洋生物飼育担当 石沢昇さん
「電力会社で、こんな海洋生物を飼うなんて全然思っておりませんでした。色とかそういう動きを見て、どっか悪いのかなというのをわかってあげるってことが難しいですね」

21日は、改良した別の水槽にヒラメを移し替え、さらに、アワビの飼育練習もスタートしました。そして、9月からはいよいよ水槽に処理水を入れ、その影響を調べる本格的な飼育試験を始める計画です。

東京電力HD・福島第一廃炉推進カンパニー リスクコミュニケーター 木元崇宏さん
「科学的なことだけではですね、なかなか、ご安心につながらないというところだと思います。目に見える形が、やっぱ一番わかりやすいだろうと」

説明を尽くし、風評被害をどこまで抑えられるのか。そして、地元の了解は得られるのか。処理水の海洋放出に向け、まだ課題は残されています。

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