小中高生の自殺が最多…どう防ぐ? 「学校問題」「ネット上のトラブル」増加、SNS“危険な空間”にも 逃げ場になるサイトは
全国で去年自殺した人は統計を取り始めてから2番目に少なくなった一方で、中高生は過去最多の527人となりました。理由としては「学校問題」が増加し、SNSは危険な空間になり得るといいます。悩みや苦しさを抱える人に向けたサイトなどを紹介します。
「命を守るためにどうすればいいか、一緒に考えていきたい問題です。厚生労働省は、去年自殺した人は全国で2万268人(暫定値)で、統計開始以降、過去2番目に少なくなったと発表しました。しかし小中高生の自殺者数は527人と過去最多になりました」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「全ての年齢で見た自殺の原因は『健康問題』や『経済・生活問題』が多いですが、進路や友達関係の悩みなど『学校問題』は増加。2022年から項目に追加された『SNS・インターネット上のトラブル』を理由とした自殺も増えている状況です」
「自殺対策に取り組んでいるNPO法人『第3の家族』の奥村春香理事長は、SNSの良い面も挙げる一方で『SNSなどの情報は子どもたちが扱いきれるものではない』と指摘します」
「奥村理事長は『大人であればフォロワーの数=人生の幸せ度ではない、モデルのような体型が当然ではないとわかるが、子どもはだんだん成長していく過程でわかるもの。SNSが危険な空間にもなり得る』と言います」
藤井キャスター
「SNS上でつらい言葉を投げかけられて、逃げ場を失っている皆さんもいますよね」
小栗委員長
「そういった方たちに向けたサイトもあります。例えば『かくれてしまえばいいのです』。『この世からきえてしまいたい、と思ったときは、まずは1回、この世からかくれてしまいましょう。ここは、あなたのためのかくれが(Web空間)です』と紹介されています」
「このサイトでは匿名の自分のアバターが『かくれが』に入ると、つらい気持ちなどを書いた紙を食べて消してくれる部屋や、おばあちゃんから寄り添うメッセージをもらえる部屋などに、自由に出入りできます」
「ここでは、電話かSNSで専門家に相談する窓口もあり、サイトは無料で24時間利用できます」
藤井キャスター
「こういう場所をぜひ利用してもらいたいと思いますが、中には家やいろいろな場所で、悩みを打ち明けることができないという人もいらっしゃると思います。どうしたらいいでしょうか?」
小栗委員長
「家にいるのがつらい人たちが匿名で悩みを吐き出せるサイト『gedokun』があります。例えば『なんか毎日が憂鬱(うつ)』などの投稿があると、その下に『わかる』と『エール』のボタンが出ます」
「投稿を見た人がこのボタンを押すと、共感する気持ちを伝えることができるというものです。月に約4000人が利用していて、特に中高生が多いそうです」
「このサイトを利用した方たちの声としては、『友達には話せないけど、ここなら悩みを吐き出せる』『家のことで悩んでいるの私だけじゃないんだ』『みんなありがとう がんばろうね』といったものが寄せられています」
「月に4000人ということは、1日に100人以上が利用しているということになります」
かしゆか(Perfume・『news zero』水曜パートナー)
「私も小さい頃は友達づくりが下手だったり、いじめに遭ったりすることもありました。心をどう保てばいいかわからない時に、私は音楽や本に心を救われてきました」
「耳から心に届く音楽や、物語の世界に没頭できる本は、不完全な自分でいいと肯定してくれていて、新しい世界の見方を教えてくれる存在でした」
「たとえ、今いる世界が限られた苦しさしか見えない世界でも、大人になり環境が変わることで、何度でも自分自身を変化させていくことはできます。急いで決断するのではなく、迷ったままでいいと思います。ただ、考えることはやめないでほしいと思います」
藤井キャスター
「苦しい思いを表に出せない人も多くいて、実は心が折れる寸前かもしれません。『この人は大丈夫だ』と思っている相手ほど、時にひと言をかけてあげてください。あなたの守備範囲の広さが、大切な人の命を守ることにつながるかもしれません」
(1月29日『news zero』より)