受験生が語る“罪悪感” 再開動きも…複雑な思い「自分たちだけ日常に戻っていいのか」 能登半島地震
石川県輪島市で6日、すべての小中学校が再開しました。地震から1か月以上たち、少しずつ日常が戻り始めていますが、受験を控える高校生が口にしたのは“罪悪感”でした。
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6日、石川県珠洲市のグラウンドに完成したのは、仮設住宅40戸。2DKが32戸、4LDKが8戸で、台所や浴室、トイレ、エアコンなどが設置されています。
珠洲市の担当者
「本当に被害がひどくて、全壊の方とかたくさんいるので、可能な限り早くご入居いただけるように進めていきたいと考えている」
珠洲市では、約1400人が避難所で生活しています。
入居を待つ避難者
「家は全壊。地震で下がグシャといって。そこに津波が入った。もう1か月。なんだかんだで、すぐ2か月になるよ。何も進んでない」
仮設住宅への申し込みは、5日までに1649件。ただ、着工が始まったのは456戸にとどまっていて、県と市は、建設を急ぐとしています。
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続々と子どもたちが登校してきたのは、輪島市内の学校。
小学校4年生
「楽しみ。みんなと会えること」
――みんなと会うのはいつぶり?
小学校4年生
「1か月以上」
――どんな話したい?
小学校4年生
「『被災中どうだった』とか」
小学校2年生
「みんなでおしゃべりして一緒に遊びたい。友達とか久しぶりに会った子と一緒に話したい」
――勉強や授業は?
小学校2年生
「あんまり楽しみじゃない」
約1か月半ぶりの学校再開ですが、実はここ、小学校ではなく、輪島高校の校舎です。市内7つの小中学校の建物は、地震で「使うには危険」と判断。そのため、高校の校舎の一角を間借りしたといいます。
これで、石川県内すべての公立小中学校が再開しました。日常が少しずつ戻り始めました。ただ、保護者からは…。
保護者
「まだ安否不明の方もいますし、 自分たちだけが日常に戻っていいのか、ちょっと思ってしまう」
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複雑な思いは、ほかの被災者からも。羽咋市にある施設を借りて勉強を続けている羽咋高校の生徒たちです。
羽咋高校に通う受験生
「震災があってからは家で待機ということがあって、 勉強する仲間とも会えず、1人で勉強しているときは、メンタル面で落ち込むことも多かった」
地面がめくれ上がり、壁が崩れてしまった母校。
羽咋高校に通う受験生
「正月休み終わったあとから完全にシフトチェンジして、また学校で、校舎で、ずっと勉強しようと思っていたけど、学校にも行けてなくてここに(来た)」
受験が迫るなか、地震が相次ぎ、“集中したくてもできない”日々が続いているといいます。そして口にしたのは、“普通に暮らせる”ことへの罪悪感です。
羽咋高校に通う受験生
「能登半島の人たちに比べたら、自分の家は水も通ってるし快適なほう。周りの人とか生徒で、まだ大変な思いをしている人もいると思うと、自分も普通に暮らしていいのかみたいに思ったりして、気が落ち着かない」
ほかの受験生への思いも。
羽咋高校に通う受験生
「僕は、被災したなかでも、恵まれた環境で勉強できている。まだ不自由な環境で勉強してる人たちも多いと思う。(不自由な環境にいる)そういう人たちがいち早く復帰して、不自由なく勉強できる環境になってくれたらいいなと」
(2月6日放送『news zero』より)