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犯人が見つからず13年 未解決の死亡ひき逃げ 「孝徳へ。頑張るから見ててね」母の思い

2022年10月8日 14:06
犯人が見つからず13年 未解決の死亡ひき逃げ 「孝徳へ。頑張るから見ててね」母の思い

2009年9月30日、午後6時50分ごろ、埼玉県熊谷市の路上で小関孝徳くん10歳が自転車に乗って書道教室から帰宅する途中、車にはねられ亡くなりました。

事件は未解決のまま13年。命日の先月30日、熊谷市内の路上には情報提供を呼びかけチラシを配る母親の代里子さんの姿がありました。

■2台の車にひかれた? 新しくなったチラシとは

実はことし、代里子さんの活動にある変化が――

「警察が2台の可能性があるとちゃんと調べてくれて、新しいチラシができた。ことしはそのチラシなので進展につながればいいです」

つまり孝徳くんをひいた車は「2台の可能性」があるのです。

2019年、代里子さんは民間の会社に依頼して、倒れていた孝徳くんや自転車の位置などをもとに事故の鑑定を行いました。その結果は、孝徳くんが後ろから近づいてきた車にはねられたあと倒れたところを対向車にひかれた可能性が非常に高いというもの。

埼玉県警はこの2台の可能性について触れてきませんでしたが、ことしに入って独自の捜査を行い2台の車が関与した可能性があるという内容を初めてチラシに記載したのです。

新しいチラシには「1台は事故現場を通過した際、孝徳くんを転倒させた可能性」「もう1台は路上に転倒した孝徳くんをひいた可能性」と書かれました。

代里子さんは「諦めなかったことが『2台説』につながったんです」と話します。

ことしの命日、現場付近を走る車を呼び止める代里子さんの手には新しいチラシが。

ことしは埼玉県だけでなく群馬県の車も多く見られ、なかには事件を知らない人もいたため、代里子さんは丁寧に説明していました。

■実る母の思い それでも犯人と向かい合えない

以前から代里子さんは「ひき逃げは逃げた時点で悪質な故意の犯罪だ」と指摘し、「死亡ひき逃げは本来は殺人罪でいい」という思いを胸に活動してきました。

それが実り埼玉県議会もことし3月、「死亡ひき逃げは殺人に匹敵する」として死亡ひき逃げの時効撤廃を国に求める意見書を採択。孝徳くんの事件は自動車運転過失致死罪の時効が2019年だったなか、警察が容疑を危険運転致死罪に切り替え、時効が2029年まで延長となった経緯もありました。

それでも孝徳くんの事件はいまだに未解決のまま。「犯人がいない13年。直接向かい合って裁判もできず、真相がわからないのが本当につらいんです」と言葉を詰まらせました。

ことし6月までに孝徳くんの事件に関して寄せられた情報提供は338件。一方で、命日を前に代里子さんが地元のラジオに出演して情報提供を呼びかけると、10日間ほどで一気に5件の情報が寄せられたといいます。

また去年は「10数年前に人をひいたが、すぐ廃車にしたから捕まらないと話す人がいる」という情報も。

「孝徳の事件が風化の一途をたどるなかで、どこかで話題にしなければいけない。活動に共感する人が増えてくれれば、事件のことを拡散してもらえて情報提供につながる可能性があるんです。13年たってしまったけれど、 新たな情報も出てきて事件の経緯が徐々にあきらかになり、犯人逮捕に一歩ずつ近づいていると信じています」

まっすぐ前を見る代里子さん。

「記事を読んで、安全運転を心がける人もいるかもしれない。それで誰かの命が守られていれば。孝徳の命が無駄にならないように、やれることは全部やっていこうと思います。孝徳へ。悔いのないように頑張るから見ててね」

情報提供は熊谷署直通(048-526-0110)

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