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【解説】捜査のウラ側と派閥の今後は? 安倍派・二階派・岸田派に刑事処分

2024年1月19日 17:59
【解説】捜査のウラ側と派閥の今後は?  安倍派・二階派・岸田派に刑事処分
自民党の派閥のパーティー券をめぐる事件で、東京地検特捜部は19日、安倍派・二階派・岸田派について一斉に刑事処分を行いました。児玉夏穂記者が解説。

──今回、安倍派の幹部は立件見送りですが、なぜなんでしょうか?

今回、特捜部は安倍派の中で、長年、キックバックが続けられてきた背景の解明を進めてきたとみられます。

安倍派の複数の幹部は特捜部の任意の事情聴取に対し、「キックバックの決定権は会長にあったが、会長が、不記載についてまで決定・容認していたかは知らない」という趣旨の説明をした上で、幹部ら自身の不記載への関与はいずれも否定しています。

一方、安倍派の会計責任者の松本氏は、「会長が不在となった後、座長や事務総長に、収支報告書への不記載について相談していない」という趣旨の説明をしていて、派閥幹部らの関与を否定しています。

供述を得られなかっただけでなく、派閥事務所への強制捜査などでも共謀を裏付けるだけの物証を得られなかったとみられ、特捜部は、幹部と会計責任者との共謀が認定できないと判断したとみられます。

──検察としては、幹部の立件までしたかったという思いもあったのでしょうか。

幹部の立件見送りについて、ある検察幹部は「法律の壁があるんだからしょうがない」と話しています。

現在の政治資金規正法では、議員を立件するには、議員から会計責任者への明確な指示や了承があったと証明する必要があり、議員の立件のハードルが高いものとなっています。

ただ今回、長年、派閥の中で続けられたパーティー券収入の裏金化に捜査のメスが入り、政治資金規正法の法律の見直しや派閥のカネのあり方などについて議論も始まりました。

先ほどの検察幹部は、「捜査をやった意義がある」とも話していました。

──今回、不起訴となった議員も多くいますが、捜査はこれで終わるのでしょうか?

特捜部による捜査自体は、一旦、ひとくぎりといえますが、検察の不起訴処分の判断について、告発をした人が検察審査会に申し立てをし、市民の目で処分が妥当だったか審査する制度があります。

今回、パーティー券をめぐる事件で告発をした神戸学院大の上脇博之教授は、今後、今回不起訴処分となった議員について、検察審査会への申し立てを検討しているといいます。

今後、検察審査会への申し立てがあれば、数か月かけて、不起訴が妥当だったかについて改めて審査されることになります。

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