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増える「アーバンベア」市街地に出没…人を襲うワケとは?【バンキシャ!】

2023年10月23日 11:41
増える「アーバンベア」市街地に出没…人を襲うワケとは?【バンキシャ!】

19日、秋田県のバス停でバスを待っていた高校生が、クマに左腕をかまれけがをしました。クマが人を襲う被害は過去最多となっています。なぜ、クマは市街地に姿を現し、人に危害を加えるのか。バンキシャ!が取材すると、ある意外な理由が見えてきました。(真相報道バンキシャ!)

21日、バンキシャ!は秋田県湯沢市へ。取材したのは、湯沢市の雄勝猟友会。毎朝行うパトロールに同行させてもらった。湯沢市では…。

秋田・湯沢市猟友会
「ここ1週間、毎日捕獲している」

9月末暫定値で28件と、全国で一番人への被害件数が多い秋田県。町には「クマ出没」を警戒するのぼりや、「農作業の際はラジオや鈴など音の出るものを持ちましょう」という防災無線のアナウンスも。

バンキシャ!は仕掛けたオリに到着。オリに入っていたのはオスのツキノワグマ。近くで見てみると…。

──(バンキシャ!)いまのどれくらいですか?

秋田・湯沢市猟友会
「200キロはあると思う」

大人のオスの体重は、80キロから120キロ(環境省による)だが、今回捕獲したクマは、それを優に超えるサイズだった。

クマによる被害は農作物にも。収穫時期を迎えたりんご園は。

猟友会
「みんなこれ熊がやった」

──(バンキシャ!)木が折れてるの? これ全部食べられてるんですか?

猟友会
「はい」

木には、縦にえぐられた爪痕。かじられたりんごも落ちていた。

出荷の準備を進めていた秋田県湯沢市のりんご農家。育てているリンゴは「シナノスイート」という品種。

りんご農家
「連日のように(クマが)来ている。枝も例年以上にやられています」

例年の収穫は70箱から80箱。しかし、今年はその半分ほどしか取れなかったといい、損失は十数万円だという。

クマは市街地にも…。

バンキシャ!
「ここで女子高校生がクマに襲われたということです」

秋田県北秋田市のバス停では、バスを待っていた女子高校生が左腕を噛まれケガをした。こうした「市街地」でのクマの出没が相次いでいる。

岐阜県恵那市では17日、交通量の多い道路沿いにあるガソリンスタンドの敷地に子グマが現れた。子グマは物を伝い軽々と上に登っていた。

秋田市内では11日、車で信号待ち中に車の間をすり抜けていくクマ。警戒する様子もなく堂々と走っていった。

市街地近くの森林に生息し、さらに街中にやってくるクマのことを研究者たちは、こう呼んでいるという。

石川県立大学の大井徹特任教授
「アーバンベア」

なぜ、いま「アーバンベア」が増えているのか。

石川県立大学の大井徹特任教授
「山の中いろんな所にエサがあるかと思いますが、強いクマが独占すると考えられる。弱いクマはそこにあるエサにありつけない。そのためエサのある場所、山ではなく市街地に出てくるのでは」

こうして競争に負けたクマが 市街地周辺に移り、心地よくなってすみ着くことで「アーバンベア」は増えるのだという。

バンキシャ!は21日、秋の行楽シーズンを迎えた栃木県日光市へ。中禅寺金谷ホテルでは…。

支配人 
「ハイキングのお客様用にクマよけの鈴を売っています」

ハイキングコースでは…。

バンキシャ!
「みなさん鈴をつけています」

ハイキング客
「全国的に多いですよね。こんなところにクマが出るわけないだろうって民家のそばまで来てクマの被害があるので」

(10月22日放送『真相報道バンキシャ!』より)