「逃げられたのかな」ヤマト運輸側と団体交渉、パート従業員と労組が結果を発表 6月に“雇用契約終了”の文書配られ…
ヤマト運輸でパート従業員として働く人が16日、東京都内で記者会見し、会社側から「来年1月末をもって雇用契約を終了する」と言われていることをめぐり、会社側と団体交渉を行った結果を発表しました。
会見したのはヤマト運輸のパート従業員とこの従業員らが加入する労働組合で、16日にヤマト運輸と団体交渉を行ったということです。
従業員側によりますと、ヤマト運輸のサービスの一つで、カタログやチラシなどを全国に送る「クロネコDM便」の各拠点での仕分けを担当するパート従業員には「雇用契約は2024年1月31日をもって終了します」という文書が6月に配られたということで、団体交渉では、従業員側がこの文書の撤回を求めたところ、ヤマト運輸側は「整理解雇ではなく、各拠点内での再配置が可能か精査をしている。」と説明。「その上でも、どうしても余剰人員がでてしまうので、その人たちには退職のお願いをしたい」と述べたということです。
従業員側が「解雇ではない、お願いベースなんですね」と確認すると、ヤマト運輸側は「そういうことです」と回答したということです。
また、ヤマト運輸側が、退職者には慰労金として賃金の3か月分を支払うとしていることについて、従業員側が「賃金ではなく、控除が受けられる形で支給してほしい」と要望したところ、「退職所得で処理します」と答えたということです。
会見で、パート従業員の女性は、「(会社側に)逃げられたのかなと思う。(契約をめぐる文書が配布された)6月の時点で、すぐに配置転換のお願いを何度もしたが、けんもほろろだった。今頃、精査しているとは、不信感でいっぱいだ」と述べ、別の女性も「解雇ではなく、(会社側からの)お願いに変わったが、検討しますというものが多く、納得のできるものではない」と述べました。
従業員側によりますと、クロネコDM便の仕分けを担当するパート従業員は、全国で3000人程度いるということです。
ヤマト運輸は日本郵便と協業のための基本合意書を2023年6月に締結し、クロネコDM便は2024年1月末で終了し、ヤマト運輸が集荷して、日本郵便に渡し、日本郵便が配達する形になるということです。
一方、会見では、小型荷物配送の個人事業主についても言及がありました。労働組合によりますと、ヤマト運輸は、小型の荷物などを配達する全国3万人の個人事業主と委託契約を結んでいますが、これについても契約を終了する方針を示しているということです。
この問題をめぐって、配達員が加入する労働組合が団体交渉を求めてきましたが、ヤマト運輸側は「使用者にはあたらない」と主張し、団体交渉に応じなかったとして、近く東京都労働委員会に不当労働行為の救済申し立てを行うことも発表しました。