失敗も話して…“語り合い教育”がすごい!
島根県雲南市では、中学3年生になると「幸雲南塾」という語り合いワークショップに参加できます。市内の中学3年生が、合同で2日間、泊まり込みます。
記者「3年生の人数は?」
中学生「10人です」
記者「10人!?」
1学年10人という、小規模校もある島根県。身近に年の近い先輩がいないことで思い描ける進路選択が限られる、“きっかけ格差”が生じる可能性があります。そこでスタートしたのが幸雲南塾。社会で活躍する先輩が、自分の人生を話し、中学生が未来を考える場を作ります。運営するのは、NPOカタリバ。話を聞くだけでなく、中学生は2日間、とことん語り合います。
言葉を引き出すために、ボランティアスタッフが、会話をリードします。まず行うのは、過去のふりかえり。人生をグラフにして、発表します。最初はスタッフがお手本。成功だけでなく、失敗体験も話します。これで、中学生たちは話しやすくなります。
中学3年生・景山さん「生徒会長に立候補したんですけど、3人立候補したうちで、私だけ先に落選してしまって、それがすごい悔しくて、友達に同情の目とか、励まされるのも嫌で――」
景山さんはこのつらい経験を、初めて他人に話しました。身近な先輩の話を聞くことが、視野を広げるきっかけになります。
こちらは高校生の先輩。雲南市の制度を利用し海外留学をした話や、伝統芸能の神楽を広めている話がありました。挑戦している姿に、中学生は自分の将来像を膨らませていきます。
語り合いの中で導き出した“なりたい自分”。明日からはじめたいチャレンジ。最後は、2日間の学びを発表します。
中学生ら「私も地域が好きなので、地域貢献をしたい」「自分のやりたいという思いに、正直になろうと思いました」
あの景山さんは――
「みんなの意見を尊重できる、慕われる存在になりたいです。そのために、視野を広く持ちたいです」
過去の経験から、なりたい自分の姿を見つけていました。
景山さん「触れたくない部分も、班の人に共有して受け止めてもらったので、自信につながったし、これからにつなげていきたいと思いました」
雲南市教育長「学校ではなかなか取り組めないことを、社会教育でやっていると。生きる力を備えた人間をキャリア教育によって大人として育てていきたい」
【the SOCIAL viewより】