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巨大地震警戒で海抜0m地帯も事前避難へ

2022年3月15日 12:00
巨大地震警戒で海抜0m地帯も事前避難へ
南海トラフ地震の想定震源域(内閣府VTRから)
南海トラフで地震で「巨大地震警戒」が発表された時、津波からの避難は重要ですが、海抜0メートル地帯でも強い揺れによって大きな被害が広がることが懸念されています。愛知県では独自に海抜0メートル地帯での事前避難を打ち出しました。

■海抜0メートル地帯で地震が起きたら・・

愛知県・岐阜県・三重県にまたがる木曽川・長良川・揖斐川下流には日本一大きい海抜0メートル地帯が広がっています。もしもここで巨大地震が起き、堤防が壊れてしまうと、堤防によって守られている海抜0メートル地帯では、すぐに川から水が入り込み、浸水被害が広がってしまいます。

河川の堤防は、歴史的に川砂などを積み上げて作られているところが多く、大きな地震が起きると液状化を起こしやすいという特徴があります。東日本大震災では、実際に利根川など各地の河川で堤防が壊れる被害が続出し、その多くが液状化によるものでした。

国が示している南海トラフの巨大地震が起きた際の想定でも、堤防が全く機能しなくなると愛知県西部の海抜0メートル地帯では深刻な浸水被害が広がると予測しています。

南海トラフで"半割れ地震"が発生して、「巨大地震警戒」が発表されたときの対策として、国は津波の被害に対して事前に住民が避難するとした対策を進めていますが、愛知県は独自の方針を打ち出し、海抜0メートル地帯でも地震の直後から浸水被害が広がって死者がでる可能性があるとして、事前避難することにしたのです。

■名古屋市などは河川堤防破壊に備えて事前避難地域を指定

南海トラフの地震で名古屋市に津波が到達するまでには最短で96分かかるとみられていて、名古屋市では津波による事前避難の必要はないということです。しかし、河川堤防が沈下したり壊れたりした場合に30分以内に30cm以上の浸水が生じる地域では事前避難することにしたのです。

名古屋市は昨年7月に、市内の中川区、港区など5つの区を流れる河川で事前避難をする地域を指定しました。対象者は全域で2万4540人に達します。

このほか、愛知県内では蟹江町やあま市など深刻な浸水が予想されている市町村でも事前避難地域の指定が進められています。

■地震が収まっても長期間浸水被害が続く・・

こうした海抜0メートル地域では、地震や津波が収まった後も被害が続くことになります。それが長期湛水です。海抜0メートル地帯では、地震によって堤防が壊れて浸水が広がった場合、まずは堤防を仮閉めして水の流入を止める必要があります。その上でポンプを使って水をくみ出していかないといけないのですが、広大なエリアでこれだけの工事などを進めて行くにはかなりの時間が必要となります。

この間、ライフラインは止まったままとなるでしょうし、食料などの物資の運搬もままならず、住民がそのまま生活していくには厳しい物があります。安全な遠くの地域に長期間避難を続ける必要が出てくる可能性が高いといえます。

■長期湛水は南海地震で高知市でも発生・・

1946年に起きた南海地震の際に、高知市では市内の広い範囲が長期間にわたって浸水したままとなり、復興の足かせとなりました。これは、地震によって広いエリアで地盤沈降が起きたためで、次に南海トラフで地震が起きた際にも同じように地盤沈降が起きると想定されています。

また海抜0メートル地帯は愛知県だけの問題ではなく、大阪府でも海抜0メートル以下の地域が約21平方キロメートルも広がっています。今後、海抜の低い土地の地震時の対応をどうするのか、各地で議論していくことが必要といえます。

住民にとっては、まずは地震の揺れや津波の被害から命を守ることが最重要ですが、その後の生活を維持していくことについても、今からいかに対応していくのか、十分に議論して備えておくことが大切です。

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