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土砂災害などの危険も…南海トラフ臨時情報「巨大地震警戒」とは

2022年3月14日 12:00
土砂災害などの危険も…南海トラフ臨時情報「巨大地震警戒」とは
北海道胆振東部地震の土砂災害
南海トラフの臨時情報「巨大地震警戒」が発表された場合、津波からの事前避難以外にも警戒すべきことはいろいろあります。土砂災害の危険地帯ではどうしたらよいのか?そして、被災エリアでの救助活動はどうなるのでしょうか?

「巨大地震警戒」が発表されてもしも巨大地震が実際に起きたら、津波だけでなく土砂災害や家屋の倒壊、火災なども起きることになります。しかし、国が明確に地震の発生前に避難するように求めているのは津波に関してだけで、それ以外の危険に関しては日頃からの地震への備えを再確認するなど警戒レベルを上げるように求めるにとどまっています。

■土砂災害に備える…

がけ崩れなどの土砂災害に関して国は、人的被害が発生するリスクが高い地域を絞り込むのは困難だとして事前避難の対象にはしませんでした。そのうえで「地震に伴って土砂災害に巻き込まれる不安がある住民は、あらかじめ安全な知人や親類の家などへの避難を検討しておくことが望ましい」とするにとどまっています。

こうしたリスクに、独自に対応を進める自治体もあります。愛知県豊田市は、地震によって家屋が倒壊したり火災で焼失したりするリスクが高いエリアと、土砂災害の危険性の高いエリアをそれぞれ指定して、巨大地震警戒の情報が出た際には自主避難を呼びかけることを決めています。

土砂災害警戒区域に指定されている地域などの住民は、自治体から避難指示などが出されることはないので、自分で判断して安全な知人の家などに避難するかどうかなどを考えておく必要があります。

■被災エリアの救援活動はどうなる…

被災エリアへの救助活動でも、これまでは大地震が発生すると全国から消防の救援部隊が一斉に駆けつけてきましたが、南海トラフで半割れ地震が発生し「巨大地震警戒」が発表されると活動計画が違ってきます。

総務省消防庁の緊急消防援助隊のアクションプランでは、最初に地震が起きたエリアの被害がいかに大きくても、「巨大地震警戒」が発表されたら、被災が想定されている沿岸部の各県の消防は当初はヘリコプターによる応援を派遣するだけにとどめ、陸上から部隊が被災地に駆けつけることはしないことになっています。
地震発生から1週間の間は次の地震に備えてそれぞれの自県で活動することになります。

■津波の事前避難などは1週間程度で、巨大地震への警戒はその後も続く…

「巨大地震警戒」が発表され、津波に備えて事前避難したりする期間は、内閣府のまとめたガイドラインではおおむね1週間と定められています。

半割れ地震が発生後1週間経っても次の地震が発生しなかったとしても危険性がなくなったわけではなく、地震発生の可能性が高まった状態はそのまま続きます。このため、気象庁は巨大地震警戒とした臨時情報は最初に発表するだけで、解除するということはありません。

しかし、避難する住民のことを考えると現実的には事前の避難を長期間継続することは困難で、自治体のアンケートでも、避難指示等が発令された場合に社会が耐えられるのは「3日程度」や「1週間程度」とする回答が多くありました。また、一般的に大きな地震が起きた後1週間程度は大きな地震が発生することがよくあります。こうしたことから、国は事前避難などの警戒を続ける期間を1週間程度としており、市町村も1週間経ったら避難指示などは解除してそれ以降は地震への注意を続けるように呼び掛けることになります。半割れ地震の被災エリアでは地震も相次ぐ中、救助活動などが続き、連日報道は被災地の様子を詳しく伝え続けます。そして地震がまだ起きていないエリアでは、地震への警戒をはじめたものの今後どうなるのかははっきりせず、住民は不安を抱えたまま普段の生活に徐々に戻っていくことになります。

このように半割れ地震が起きた時は、すでに深刻な被害を受けている地域への救援活動とともに、全国的に物流も悪くなり、燃料の不足や物資の不足、通信状態の悪化なども起きることになります。そしてまだ被災していない地域では「巨大地震警戒」という情報が発表され、民間でも工場の操業はどうするのか、商店はどうするのか、鉄道など交通機関は運行を続けるのかどうか、各企業なども対応を迫られることになります。

南海トラフ地震の被災が想定されている地域では、事前に地元自治体などの計画をしっかり把握するようにして、家族の中でもしもの時にどう行動するのかきちんと話し合って備えておくことが重要です。

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