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【解説】猛暑日“記録更新” 「温暖化がなければ…」今より涼しかった90年代 「食」への影響も懸念

2023年7月27日 20:57

27日も災害級の暑さが続いていて、東京では7月の猛暑日の日数がさらに更新されています。

●熱中症去年の2倍
●世界的熱波…食品に影響

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■東京都心の猛暑日“9回目” 熱中症で救急搬送…去年の同時期と比べ2倍以上

27日も各地で体温を超えるような暑さとなりました。大阪・枚方市では最高気温39.8℃まで気温が上がり、今年全国で1番の暑さを更新しました。

27日は全国251地点で35℃以上の猛暑日となり、東京都心の最高気温も36.9℃になりました。東京都心が猛暑日となったのは今月に入って9回目で、7月の猛暑日の日数の記録を更新しました。

熱中症も今年最多となっていて、注意が必要です。

総務省消防庁によると、今月17日~23日の1週間に熱中症で救急搬送された人の数は、全国で9190人にのぼっています。これは、去年の同じ時期と比べて2倍以上の人数です。

さらに、10人が亡くなっていて、搬送者、死者ともに今年最多となったということです。

■「昔の方がさわやかな暑さ」 90年代の7月平均気温を見ると…

「子どものころは、こんなに暑くなかった」と思う人も多いのではないでしょうか。今と昔の気温が、実際にはどれぐらい違うのかを見ていきます。

東京都心の今月の最高気温は、ほぼ30℃を超えていて、27日で4日連続の35℃以上の猛暑日となっています。

一方の1990年からの10年間の7月の気温について、1日ごとの平均を算出すると、30℃を超える日は7月後半になってから出てきます。27日の気温を比べてみると、90年代は32.8℃と約4℃低いということです。

しかも、猛暑日は、10年間で一番多かった1991年、94年、97年でも3回しかなかったといいます。

今と昔の暑さについてどう感じているか、街の人にも聞いてみました。

福井出身(30代)
「昔の方がさわやかな暑さ」

茨城出身(60代)
「エアコンはうちにはなかったですね、小さいころは。子どものころは夕方になると『夕涼み』という言葉があったように、結構涼しくなってたんですけど。今はそこ(夕方)からもまだ、30℃から下がってない」

東京出身(50代)
「子どもの時はエアコンが出回る時期だった。もっと特別な部屋、祖父の部屋とか(にしかなかった)。今は(エアコンは)必要不可欠な友達」

群馬出身・高校生
「(昔は)扇風機! 最近は両方とも扇風機とエアコン」

7月の終わりまで残り4日ですが、東京都心はずっと36℃まで上がるという厳しい予想になっています。

■シチリア島では連日“40℃超え”多くの人が避難 永久凍土から思わぬ“掘り出しもの”も

なぜこれほどまでに暑いのかというと、夏の気温を左右する「太平洋高気圧」が、今年はとにかく強いからです。さらに長い目で見てみると、「温暖化」や「都市化」が猛暑の原因としてあげられます。また、異常な暑さは海外でも深刻で、その影響は日本にも及んでいるというのです。

アメリカ・カリフォルニア州のデスバレーでは今月、53.3℃が観測され、猛烈な暑さになっているわけです。

ヨーロッパの各地では、熱波による乾燥や強風で山火事が広がっています。イタリアのシチリア島では連日、最高気温が40℃を超えるなど猛烈な暑さとなっていて、多くの人が避難を余儀なくされているといいます。

熱波の影響は、意外なところにも出ていました。

ロシアの極東地方では温暖化などの影響で永久凍土がとけ、地中からマンモスの牙などが見つかっているといいます。工芸品に加工するために高値で取引されていることから、違法に掘り出されて密輸されるケースもあるということです。

■「温暖化がなければ…」 地面が「沸騰寸前」転倒でやけど続出

欧米で今月発生している「熱波」について、イギリスの研究グループは、「温暖化がなければ、このような暑さは極めてまれなものであっただろう」とする分析結果を発表しました。分析結果では、今回起きているような熱波はもはや、現在の気候では珍しいものではないとしています。

アメリカ・アリゾナ州では、記録的な暑さのためアスファルトが高温となり、地面に転んだだけでやけどを負う人が続出しています。アリゾナ熱傷センターの入院患者の3分の1は、転倒してやけどを負った人だといいます。

医師によると、「夏の午後にはコンクリートや歩道の温度は、約80℃になることもある。沸騰寸前だ」といいます。

■オリーブオイルの値上げにも影響? 名産品が食べられなく…

こうした海外の暑さは、実は日本にも大きな影響を及ぼしています。

日清オイリオグループは、家庭用のオリーブオイルを10~26%の大幅な値上げをすると発表しました。その原因は、ヨーロッパの熱波や干ばつでオリーブの生産量が減ってしまったためです。

今後、あらゆる作物に影響が及ぶことが心配されていて、日本へ入ってくる他のヨーロッパ産食品の値上がりにつながる可能性が高いと指摘されています。つまり、私たちの食卓への影響も出ると予想されているわけです。

    ◇

地球温暖化により作物に影響が及ぶということは、食品の値上げにつながるだけでなく、地域で本来食べられるはずだった名産品が次第に食べられなくなってしまう。実は食文化にも影響が及びます。「地球の環境を守る」ということは暮らしにとって大切であることも、この暑さを通じて考える機会になればと思います。

(2023年7月27日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)