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正倉院宝物の展覧会 いまも伝わる奇跡の美

2019年11月2日 16:23
正倉院宝物の展覧会 いまも伝わる奇跡の美

今年、天皇陛下の御即位を記念して、史上初めて東京と奈良で同時に開催されている正倉院宝物の展覧会。1300年を超えて伝わった「奇跡の美」。

    ◇

10月22日に行われた即位礼正殿の儀。天皇陛下の御即位を祝って、今年、皇室ゆかりの正倉院の展覧会が史上初めて、奈良と東京で同時に開催される。

奈良国立博物館で始まったのは「第71回正倉院展」。初日は900人が列を作った。

内藤学芸部長「今回の正倉院展は展示の宝物の数は41件ですが、正倉院宝物を代表する名品がそろって展示されています」

■金銀平文琴
中国からもたらされたとみられる楽器・琴。絵画のように切り抜いた金や銀の薄い板を漆塗りの中に埋め込み、豪華に装飾している。

■紫檀金鈿柄香炉
香を焚くための仏具。黒い紫檀の木に、金や水晶玉を埋め込んでいて、さらに鳥や花を透かし彫りにした金具や金色に輝く獅子を飾っている。

■紺玉帯残欠
今と変わらない作りの革のベルト。ラピスラズリというアフガニスタン特産の宝石が惜しげもなく使われている。この豪華な帯を収納していたのが螺鈿箱で、磨くと光るヤコウガイの貝殻や裏から色を付けた水晶で華やかに飾られている。

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およそ1300年前の奈良時代。聖武天皇は国の安泰を願って東大寺の大仏を建立した。その天皇が亡くなった時、后の光明皇后が天皇愛用の品を東大寺に納めたのが、正倉院宝物の始まり。校倉造りで知られる国宝・正倉院正倉で宝物は守り伝えられてきた。

「天皇の倉」として守られてきた正倉は、現在も宮内庁が管理している。令和元年の今年は、天皇の御即位に関する宝物が多数、公開されることになった。

■衲御礼履
聖武天皇が実際にはいたとされる儀式用の靴。真っ赤に染めた革に真珠やガラス、水晶がはめ込まれている。

■礼服御冠残欠
即位の儀式など非常に重要な場で使われた「冠」の破片。復元すると、華やかな冠になると考えられる。しかし鎌倉時代、後嵯峨天皇の冠の参考にするため持ち出し、壊れてしまったそうだ。

■赤漆文欟木御厨子
天武天皇直系の6代の天皇に受け継がれた由緒ある棚。聖武天皇と光明皇后が直筆の書や儀式に使う道具など、愛用の品を身近に置くため使った非常に重要な調度品だった。

ほかにも、樹木の下にたたずむ女性を描いた「鳥毛立女屏風」が20年ぶりに6枚そろって公開されるなど、みどころが多い展覧会となっている。

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一方、東京国立博物館でも38年ぶりに正倉院宝物の展覧会が開かれ、43件の宝物が東京に「出張」している。

■螺鈿紫檀五絃琵琶
最も有名な正倉院宝物の一つ。ウミガメの甲羅「玳瑁」や磨くと光るヤコウガイの貝殻が使われ、弦がある側には、シルクロードを思わせるラクダのモチーフが。背面には、空想上の花「宝相華」がところ狭しと飾られている。

宮内庁では、この五絃琵琶を15年の歳月をかけて復元し、完成品をこの展覧会で披露している。本物と全く同じ材料、技法が用いられ、会場では、復元の過程を追った映像も見ることができる。

■蘭奢待
「天下の名香」とうたわれ天下人がこぞってその欠片を手に入れようとした「蘭奢待」。足利義政や、織田信長が削りとったとされる跡に紙が貼ってある。

ほかにも正倉院を代表する宝物が並ぶ東京の会場。

■伎楽面 酔胡王
伎楽という古代の演劇に使われた仮面。東京には、酒に酔った西域の王を表した「酔胡王」の面が。一方、奈良の会場には、今の獅子舞にも通じる「獅子」の面が並んでいる。

この2つの面が使われる伎楽の演目を再現すると…、王の宴席で酒をたしなみ調子に乗った家来が獅子を怒らせるというひと騒動がユーモラスに演じられる。

奈良国立博物館の「第71回正倉院展」は11月14日まで、東京国立博物館の特別展「正倉院の世界」は11月24日まで開かれる。(※11月6日から一部、展示物が変更されています)

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