犯行前に同居家族の有無確認“アポ電”に注意を 警察や銀行を名乗るケースも
特殊詐欺などの犯人が、犯行前に同居家族がいるかどうかなどを確認する、いわゆる“アポ電”による被害が後を絶ちません。警察が実際の音声を公開するなど、警戒と注意喚起を強めています。
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「もしもし、もしもし」
去年11月に広島県に住む70代の男性宛てに1本の電話がかかってきました。
「こちら安佐南警察、生活安全課の“シライ”と申します。お伺いしたいことがあってお電話したんですが」
丁寧な口調で電話をかけてきたのは、警察を名乗る“シライ”という女性です。実はこの人物は、実在しない“ニセの警察官”でした。
「先日、空き巣と詐欺の事件があったんですね。男を2人逮捕しているんです。この2人名前が●●38歳ともう1人が●●41歳。このお名前に心当たりはなかったですか?」
ニセの警察官は詐欺などを働いた2人を逮捕したと話し、男性に犯人について心当たりがないか尋ねました。
「ご家族の方にも知っているかどうか確認したいので、在宅でしたらおかわりいただけますか?」
男性が家族にかわろうとすると電話が切れました。
この会話は広島県警が公開したもので、犯人が特殊詐欺の犯行前に同居家族の有無などを確認する、いわゆる“アポ電”の可能性があるといいます。広島県警によりますと、去年、広島県内で発生した特殊詐欺の被害は234件で、およそ6億8400万円にのぼるということです。
実はこうした“アポ電”は全国各地で相次いでいます。
「お金をだまし取ろうとする詐欺の電話がかかってきています」
10日、北海道札幌市の住宅街でパトカーが注意喚起していましたが、そのさなかにも不審な電話を受けたという住民が警察に相談してきました。
北海道警の警察官
「声をかけている最中に『うちにも電話来たんだわ』っていう電話が」
不審な電話がかかってきた住民
「『オレだオレだ』って電話が来たっていうんだよね」
警察官
「もう一度不審な電話等がきたら、再度、警察の方に教えていただければ」
札幌市の一部地域では、息子などをかたり在宅を確認するような電話が60件以上確認されていて、2月に入り急増しているということです。
専門家は最近の“アポ電”の傾向について、息子などではなく、警察や銀行などを名乗るケースが増えているといいます。
“アポ電強盗”に詳しい元埼玉県警捜査1課 佐々木成三氏
「みなさん、特殊詐欺=オレオレ詐欺と思っている。いきなり警察官、もしくは銀行をかたる者から電話がきたときに、これが特殊詐欺だと知ることがアップデートされてないので」
専門家によりますと、「警察」や「お金」などのワードが出てきた際は詐欺と疑うことが重要だということです。