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ベーシックインカムは必要か?

2020年1月15日 14:59
ベーシックインカムは必要か?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「ベーシックインカムは必要か?」。一般社団法人giv代表の西山直隆氏に話を聞いた。

世界経済フォーラム年次総会、いわゆるダボス会議。今回、50回目のダボス会議が来週1月21~24日に開催されます。ダボス会議で、この数年、テーマにあがるのがベーシックインカム。ベーシックインカムとは、「すべての国民に、政府が生活に足る一定額を無条件で定期的に支給する」所得保障制度のことです。最近では、ZOZOの創設者で前社長の前澤友作氏が、SNSでの100万円を1000人に配るという「お年玉」企画が「ベーシックインカムの実験」だと発言して、話題になっています。

「ベーシックインカム」について、ネット上では

「就職氷河期世代救済にはベーシックインカムしかない」
「AIやロボットの台頭で導入不可避か?」
「働かずにお金が入ったら生産性が低下するのでは」

などの意見がありました。この話題について西山氏のご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「みんなで創る」と書きました。

ベーシックインカムの議論はなかなか前に進まないことが多いなと思っていまして、その大きな要因は2つあるのかなと思っています。1つが、お金をみなさんにばらまくための財源を確保するのが難しいこと。それからもう1つが、お金をみなさんにばらまくことが人を本当に豊かにするのかというなかで議論が行ったり来たりしていてなかなか進みにくいところがある。そういった中で、もちろん全てのベーシックインカムを代替するわけではないのですが、一部の解となり得るものとして「みんなで創る」というものがあり得るのではないかというふうに思っています。

これは何かというと、お金をもらって人は何をするのかというと物を買う、あるいはサービスの対価としてお金を支払う。であれば、最初から物やサービスを提供すれば、その財源となるお金を用意する必要も一部なくなるのではないか。では誰がそのサービスを提供してくれるのか、誰でも彼でもみなさんが受けられるのかというと、そうではなくて、それぞれみなさんが得意なこととかできることを、「私はこれができます」と、テーブルの上に置きます。みなさんがそうすることによって、みなさんが提供してもらうという環境こそが、自分の好きなこと・得意なことをよりやりやすい環境を作ったり、あるいはそれができているのは周りの方々が違うことをやっていただいているからという、多様性のリスペクトにもつながると思います。

――ベーシックインカムはお金ということになりますが、サービスの交換をしていけばいいのではないかということなのですね。具体的な例は何かあるのでしょうか。

我々もまだまだ進めている最中ではあるのですが、いま地方自治体さんともディスカッションをさせていただいています。我々が「giv」で運営しているのは現状、プロフェッショナルの美容・健康・食といったような方々なのですが、そうではない一般の市民の方々が入れるような仕組みを自治体さんと組みながらできないかというディスカッションをしております。

本当に身近で行われているような地域の助け合い、「おばあさんが近所の子供たちを見てあげる」とか、最近話題の「子ども食堂」もそうだと思います。地域の方々が出しあって、みんなで社会を支え合うという仕組みはもっともっと必要になってくるのではないかなというふうに思っています。

――自分のサービスを提供しなきゃと思うと、何か特別なことがないといけないかなと思うのですが、ささいなことでも助け合いになるということですね。

はい、都会だとなかなか安心も安全もいろんなつながりもお金で買わなきゃいけないという部分があるのですが、地方に行けばそういったある種お金に換金されていない豊かな価値が回っている部分が非常にあると思う。今後サービスとサービスの提供のしあいによって、ベーシックインカムをサポートするような仕組みになるのではないかなというふうな期待をしています。

――先ほども「ギブ」をすると心が豊かになるというお話がありましたけれども、本当にコミュニティが出来上がって心の交換ができそうですね。

はい。そういうふうにしていきたいと思っています。

■西山直隆氏プロフィル
一般社団法人giv代表。好きなことを提供=ギブして、自分もみんなも豊かにつながる「giv」というコミュニティと仕組みづくりに取り組む。西山さんは19歳で起業し、約2年で会社を売却。その後大手メーカーを経て、上場を目指すベンチャー企業の支援をするための会社に転職。日本からシンガポールに渡り、起業家の支援に関わった。その中で金銭的・物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさが得られる社会の重要性を感じ、現在のサービスを立ち上げた。

【the SOCIAL opinionsより】