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社会課題解決を仕事にするためには

2019年12月16日 15:54
社会課題解決を仕事にするためには

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「社会課題解決を仕事にしたい理由は?」。東日本大震災をきっかけに個人のキャリアや組織のあり方を見直しはじめ、「企業」「NPO」「行政」の3つのセクターで働くトライセクターリーダーの加藤たけし氏に話を聞いた。

総合人材サービスのパーソルキャリアが社会課題解決を仕事にしたい人を対象とした、理想の働き方を調査しました。働きたい理由を聞いたところ、1位「生きがいを感じるから」、2位「社会の役に立ちたいから」などとなっています。また、仕事を希望しながらも仕事として関わっていない理由を聞いたところ、1位が「収入面で不安があるから」、そして2位が「きっかけや機会がないから」などごらんのようになりました。

ネット上では…

「NPOやNGOは収入が少ない印象」
「解決したい社会課題があるから頑張れる」
「ビジネスと社会課題の解決は両立させるべき」

などの意見がありました。


――この話題について加藤さんのご意見を伺います。まずはフリップからお願いします。

「企業とNPOの歩み寄り」と書かせていただきました。

先ほども出ていたのですが、ビジネスとNPO、どちらも社会課題の解決という点では共通するところがあるのかなと思っています。ただ一方、残念ながら現状、企業は社会課題の解決につながらないのではないかという話もあったりしますし、そもそも収益性に寄っているケースもあるかと思う。企業がもっと社会課題にフォーカスして、考えていくのは必要かなと思っています。

もう一方、NPOの方でいうと、どうしてもボランティアのイメージがあったり、助成金でやっているんでしょと話されたりするのですが、実際はそうではないケースも多く、事業型のNPOも増えてきているかと思います。

企業側がもっと社会課題の解決に特化することも必要かと思いますし、NPO側としてはもっと企業のように戦略を立てたり、戦術事業を作るということも含めて歩み寄っていく重要性があるのかなと考えています。


――皆さんの意見で多かったのは、収入面に関することです。こちらは現状としてどうなのでしょうか。

おそらく現状でいうと、企業と比較するとNPOなどの方がまだまだ低いケースは多いのかなと思います。ただ一方で、NPOは5万ぐらいあると日本では言われているのですが、その中でも特にしっかり活躍されている方々に関していうと、とある調査結果で一般中小企業よりもそういったNPOの方が、給与が高いという調査結果があったりもします。なので、徐々にそういう組織も増えてくるのかなと思いますし、そのためにNPO側が頑張らなきゃいけないこともたくさんあるのかなと思っております。


――ただ、キャリアチェンジってなかなか勇気もいると思うのですが…。

そうですね。まさにそれもあって、まずスモールスタートといいますか、小さいところから始めていくのも大事かなと思います。例えば私もそうだったのですが、まずはボランティアとして週末に活動し始めてみるとか、プロボノとかもそうですし、少しずつ始めていく。それから業務委託がちょっと出てきたり、あとは副業という形で、今でいうと週3日は企業、週2日はNPOではないですが、国家公務員という形で仕事をしているので、そういうケースもどんどん増えてきて、いろんな形で社会課題の解決につながるような仕事ができていけるのではないかなと思います。

――そして徐々にそのバランスのウエートを増やしていくという形ですかね。

はい、そうですね。

■加藤たけし氏プロフィル
「企業」「NPO」「行政」の3つのセクターで働くトライセクターリーダー。週3日は民間企業で正社員をしながら、週2日は非常勤国家公務員として文部科学省の広報戦略アドバイザーとして働き、さらに複数のNPOに関わっている。加藤さんは新卒で入社した上場会社を経て、ベンチャー企業やコンサルティング企業で働いてきた。そして東日本大震災をきっかけに個人のキャリアや組織のあり方を見直しはじめ、社外の領域にも活動を広げていった。これからの時代に求められる新しいワークスタイルを実践している。

【the SOCIAL opinionsより】