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愛華さんの望み ~地球を救う一冊~

2022年5月13日 13:02
愛華さんの望み ~地球を救う一冊~
1991年、12歳でこの世を去った坪田愛華(つぼた・あいか)さん。亡くなる直前に地球環境を考える1冊のマンガを書き上げました。30年たったいま、彼女の思いはどう受け継がれているのか。



12歳でこの世を去った少女は死の直前、地球環境を考える1冊のマンガを書き上げました。

母・坪田揚子さん(79)
「命をかけたっていうか、命と引き換えにさせられたっていうか、そういう運命だったんでしょう」

少女の思いは、国連で紹介され、世界中で翻訳されたマンガは、子どもたちが環境を考えるきっかけになりました。

ミュージカルとしても約30年にわたって愛され続けています。

少女の名は、坪田愛華(つぼたあいか)さん。

幼い頃の愛華さん
「お母さん、お母さん」

好奇心旺盛な女の子でした。小学校で出された「地球の環境について」考える宿題。当時、「湾岸戦争」のニュースを見て、胸を痛めていた愛華さん。そして、こう思いました…「地球が壊れてしまう」。地球を守るために何をすべきか、マンガで訴えました。でも、「地球の秘密」を書きあげた直後、突然、小脳出血で倒れ、この世を去りました。12歳の誕生日を迎えた1か月後でした。

揚子さん
「イヤねえ、年をとるということは、力がなくなって」

愛華さんの母、揚子さんは今年で80歳になります。

揚子さん
「愛華に背中を押されてここまできたっていう感じかしら。いつも愛華のこの本から何か迷った時にみると、『どんな小さなことでも、やらないよりはやった方がいいでしょ』ということとか」

娘が最後に遺した「地球の秘密」をみんなに知ってもらいたい…そう思った30年前。

揚子さん
「娘が世界に知らせるためにですね、『もう地球がいま危ないから』っていうのを必死で訴えているのを感じるんですけどね」

地球サミットでも紹介され、大きな反響を呼びます。そして2年後には、「地球の秘密」をモチーフにしたミュージカル、「あいと地球と競売人」が生まれました。

揚子さん
「亡くなってもね、愛華はね、演劇もしたかった、アニメーションも作りたかった、いま考えると、みんなやってるの、1つずつ。舞台にも出てるでしょ?愛華の遺志がね」

ミュージカル「あいと地球と競売人」は、30年近く愛華さんの遺志を受け継いできました。出演者もスタッフもほとんど地元・島根の人たちです。

指導者「この音が一発で出んと!」

男の子「…(泣き始める)」

指導者「泣かん!できるけん、泣かん!絶対できるようにしてあげるけん、泣かん」

新型コロナの影響で中止となったミュージカル「あいと地球と競売人」が2年ぶりに帰ってきました。

観客
「私が小学生の時に見に来たことがあって、(子どもと)一緒に見られたらいいなと思って」

揚子さんも毎回楽しみにしています。

揚子さん
「皆さんが本当に心を合わせて1つのことに向かっていく、地球を救うというのは、そういう心だと思います。ここのどこかに愛華がまじっていると思います」

劇の終盤、主人公のあいちゃんは、地球を汚す妖怪たちの魔の手にかかり天国へ。

揚子さん
「愛華はね、もう30年もね、ここで生かしてもらっています。さよならしてないから、そう思いますよ」

世界中の心を動かしてきた1人の少女がいました。

彼女は言いました。
「どんな小さいことでも…やらないよりはやった方がいいでしょ?」

愛華さんが望んでいた地球にいま、なっていますか?


*フルバージョンは5月15日からHuluにて配信予定

NNNドキュメント2022年4月3日放送「愛華さんの望み~地球を救う一冊~」(日本海テレビ制作)を再編集しました。
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