全国初“マスクなし”乗車拒否、バス会社に「行政処分」ナゼ? 車内は満員状態、通院客が多い路線 利用客の声は
マスクをつけていない客の乗車を拒み、停留所のない場所で降ろしたとして、静岡県で運航するバス会社が全国初の行政処分を受けました。当時は満員状態。通院利用が多い路線で、処分の根拠となった法律にマスクの規定はありません。利用客に受け止めを聞きました。
■地元の重要な足...全国初の行政処分
静岡県を中心に、路線バスなどを運航する、伊豆箱根バス。
「(通勤で)朝と夜と利用させてもらってます」
「子どもがよくバスに乗りたがるので」
地元住民の重要な足となっているバス会社が、マスクを着けない客を乗車拒否したことで全国初の行政処分を受けました。
■降車させたのは...バス停を過ぎた場所
同社などによると、乗車拒否があったのは今年4月。静岡県の沼津市と伊豆の国市を走る路線のバス停で、1人の女性客が乗車しました。
当時、バスは約25人の乗客で満員状態でした。乗ってきた女性は最初からマスクを着けておらず、その様子を運転手の男性(66)がミラー越しに確認。しばらくしてもマスクを着けなかったため、車内アナウンスで複数回、「マスクしてください」と呼びかけました。
しかし女性がマスクをすることはなく、運転手は次のバス停を10メートルほど過ぎた場所でバスを停車させ、女性を降ろしたということです。
女性が乗ったバス停の1つ手前には、病院前の停留所があります。この路線は、病院への往復で利用する人が多いといいます。運転手は「病院前のバス停から乗ってきているお客様がいたこともあり、迷惑がかかると思って降ろした」と説明しています。
ただ道路運送法では、泥酔した人や不潔な服装をした人の乗車拒否はできるものの、マスクに関する規定はありません。正当な理由がなければ、法令違反となる場合もあります。
今回の乗車拒否を受け、国土交通省の中部運輸局は伊豆箱根バスに対し、バス2台を25日間使用停止とする行政処分を出しました。
■利用客の受け止めは...複雑な声
2日夜、伊豆の国市で利用客に取材すると、複雑な声が聞かれました。
「どっちが絶対に正しいとは言い切れないですけど、子どもを連れてる側からしたら、マスクしてない人の近くにはいたくないです」
「運転手さんも運転手さんで責任がありますので、他のお客さんのことを守らなければならないし...」
伊豆箱根バスは「再発防止に努める。マスク着用のお願いは継続する」としています。
(9月2日『news zero』より)