【解説】「塩分」は1日何グラムまで?「健康寿命」に驚きの差! 国が健康づくりを呼びかけ
来年度からの健康づくりの目標を厚労省がまとめましたのでお伝えします。ご自身の生活と照らし合わせてみてください。
◇みそ汁やカレーの塩分は
◇果物不足…何個でOK?
◇“寿命”12年の差
以上の3点について詳しくお伝えします。
まず、国が何をしようとしているのか。
厚生労働省が今週までにまとめたのが、全ての国民が健やかに生活するための計画です。来年度にスタートし、2032年度までに達成したいさまざまな数値目標が掲げられています。
これらの目標をもとにして、自治体や企業は「食生活を改善しましょうね」と普及・啓発をしたり、保健指導を行ったりします。国民も「一人ひとり意識してくださいね」というものです。
では、その数値目標をみていきます。まずは塩です。1日当たりの食塩の摂取量を減らしましょうということですが、今の20歳以上の平均摂取量は、2019年時点で10.1グラムです。目標としてほしいのは7グラム未満となります。
日本高血圧学会によると、みそ汁を1杯飲むごとに1.5グラムの塩分を摂取しているといいます。ものにもよりますが、たくあんは2切れで1.5グラム、梅干し1個で2グラム、カレーライスで3.3グラム、にぎりずし1人前がしょうゆも込みで5グラム、きつねうどんは5.3グラム、カップめんは5.5グラムの塩分が含まれています。
【食べ物に含まれる塩分の量(日本高血圧学会より)】
◇あじの開き(小1枚・60グラム):1.2グラム
◇みそ汁:1.5グラム
◇たくあん(2切れ・20グラム):1.5グラム
◇ハム3枚(60グラム):1.5グラム
◇梅干し(10グラム):2グラム
◇カレーライス:3.3グラム
◇塩ざけ(1切れ・40グラム):3.5グラム
◇天丼:4.1グラム
◇にぎりずし(1人前・しょうゆ込み):5グラム
◇きつねうどん:5.3グラム
◇カップめん:5.5グラム
朝にみそ汁とたくあんを2切れ、梅干しを食べただけで、あっという間に7グラムになってしまいます。塩分のとりすぎは高血圧につながるおそれがあるので気をつけましょう。
それから野菜です。2019年時点での1日の摂取量の平均は281グラムですが、2032年度までの目標は、1日350グラム以上となっています。サラダにしたり煮物にしたりして、工夫して食べましょう。
次は果物です。2019年時点での摂取量の平均は、1日あたり99グラムですが、2032年度までの目標は1日200グラムです。果物は日本人に絶対的に足りていないそうです。「倍以上食べなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、意外と大丈夫かもしれません。キウイ2つでだいたい200グラムです。
果物200グラムの摂取を推進する協議会の資料によると、みかんなら2個、りんごやナシは1個、大きなかんきつ類でもだいたい1個食べれば200グラムです。
【果物200グラムの目安(毎日くだもの200グラム推進全国協議会より)】
◇みかん:2個
◇りんご:1個
◇かき:1個
◇デコポン:1個
◇日本なし:1個
◇もも:1個
◇キウイ:2個
◇ぶどう:1房
1日で200グラム食べればいいので、朝晩などに分けて食べたりしてもいいと思います。
野菜や果物をとることは、脳卒中や心疾患の死亡率低下につながるとされているので、国はこういう数値目標を掲げています。
なぜ目標をこんな細かいところまで掲げて健康づくりを呼びかけているのかというと、その目的は「健康寿命」を延ばすことです。
健康寿命というのは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。2019年時点で平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳なのに対して、健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。健康上、何か問題があって介護や支援が必要な期間が男性は約9年、女性は約12年もあるということです。
健康寿命を延ばすことで日々の暮らしが豊かになるのはもちろん、医療や介護の費用が減り、社会活動ができてコミュニティや経済活動の活性化にも寄与することが期待されるわけです。
さらに運動ですが、65歳未満は1日に8000歩、65歳以上は1日6000歩、歩いてくださいということです。8000歩は、単純計算するとだいたい1時間半歩くとされています。日々の通勤の行き帰りや、ちょっと買い物に行っただけでもカウントされます。意識するだけでも変わってくると思います。無理のない範囲でがんばるのがいいということです。
(2023年5月19日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)