「有効性は慎重に解釈を」アビガン中間報告
新型コロナウイルスの治療薬として期待される抗インフルエンザ薬「アビガン」について、藤田医科大学は、患者に投与して経過をみる観察研究の中間報告を発表しました。薬を投与した軽症者の約9割で2週間後に症状が改善しましたが、新型コロナウイルスの患者は自然によくなることも多いため、有効性については慎重に結果を解釈することが必要だとしています。
藤田医科大学が中心となって進めている抗インフルエンザ薬「アビガン」の観察研究の中間報告が発表されました。これは、3月中旬から今月15日の夕刻までに、全国の医療機関でアビガンを投与した新型コロナウイルスの患者2158人について、主治医の判断を集計したものです。
アビガンを投与した患者を調べると、50代以上が75.9%を占めていて、全体の約半数に糖尿病などの基礎疾患がありました。投与を開始してから14日目の経過について主治医が評価したところ、軽症患者の87.8%、中等症患者の84.5%で症状が改善したということです。
一方、重症患者で症状が改善したのは60.3%にとどまり、「重症患者では治療経過が思わしくないことも多い」と分析しています。
また、この研究は、薬を投与した人と投与していない人で経過を比較したものではないため、この結果からは薬の有効性を判断できないとしています。
患者の8割以上が軽症で自然によくなることも多いとして、研究の代表者である土井洋平教授は、会見で「アビガンを内服しなくても比較的近い結果が出てきている可能性もある」と述べました。
アビガンは、動物実験で奇形児が生まれる副作用が指摘されているほか、尿酸値や肝機能への影響もすでにわかっていますが、今回の研究で、これまでに報告されていない新たな有害な症状などは報告されていないということです。