GoToキャンペーン遅れる可能性ナゼ?
夏休みを前に7月下旬にも始める予定だった「GoToキャンペーン」が、ずれ込む可能性が出ています。これは何故なのでしょうか?
■6月19日から国内観光も徐々に緩和へ
東京では新型コロナウイルスへの警戒を呼びかける「東京アラート」が出されていますが、感染状況が悪化しなければ、6月19日から全都道府県での「移動」が緩和され、状況をみながら県をまたいでの「国内観光」も徐々に緩和されることになっています。
6月6日・週末の箱根湯本の様子を見てみると、多くの観光客が訪れる駅前の通りは、通常にはまだまだ遠い状況でした。
感染の拡大がおさまったあと、こうして打撃を受けている観光や飲食などの消費を促すため、政府は7月下旬にも「GoToキャンペーン」を始める見込みでした。
しかし、これがずれ込みそうです。肝心の8月の夏休みに間に合うかどうかもポイントとなります。
■GoToキャンペーンってどんなもの?揉めている理由は?
まず「GoToキャンペーン」がどのようなものかをおさらいします。
国内旅行については、旅行業者などを経由して旅行代金の半額のクーポンなどがもらえます。これは1人あたり最大2万円までとなっています。飲食店の支援もあり、インターネットの予約サイトで店を予約すると、1回につき最大1000円のポイントがもらえるというキャンペーンです。
では、このキャンペーンをめぐって何を揉めているのでしょうか? GoToキャンペーンは、第一次補正予算で約1兆7000億円が計上されています。
この業務の事務を民間企業などに委託するのですが、その「委託費」にあてられたのが最大で3000億円あまり。これは総事業費の約2割にあたります。
経済活性化が目的で、全て税金で行われるのですが、3000億円も事務費にあてられるということで、野党が「額が多すぎであり、減額すべきだ」と追及しています。
これに対し、経済産業省の担当者は「3000億円はあくまで上限であり、残ることも想定している」と説明しています。
この3000億円の内訳について。経費にあてられるのは「システムづくり」「コールセンターの設置」「キャンペーンの広報活動」などにあてられるとしています。
今回のキャンペーンは旅行だけでなく飲食店なども対象となるため、より複雑なシステムが必要になることも考慮して委託費を設定したとのことです。
この委託費の支払いは、帳簿や領収書などで実際の支払いを厳しく審査し、原則としてキャンペーンが終わったあとに、かかった費用だけ精算するとしています。
総事業費の「2割」という数字はどこから来たのでしょうか。
安倍首相は8日、国会で以下のように述べました。
「GoToキャンペーンの委託費については、過去に実施した『ふっこう割』などの消費喚起キャンペーンの際に実際に生じた費用を参考に計上したものでありますが、この金額があくまで上限であり、実際に用意した費用以外が支払われることはありません」
「ふっこう割」とは、災害で被災地の落ち込んだ観光需要を早く回復するために費用を割り引くなどの取り組みです。
例えば西日本豪雨など、他の災害でも大小を問わず今までにあった事業です。その事務委託費が大体2割だったため、そこから算出したということです。
■キャンペーンはどうなる?
では、このキャンペーンは今後どうなるのか。委託先の公募は6月8日が〆切でしたが、6月5日に急きょ、一時中止を発表しました。
というのも、これまで経産省が一括して事務局に委託しようとしていたのですが、観光については観光庁に委託、飲食については農水省に委託、イベントは経産省に委託と、それぞれの所管の省庁で事務局を選ぶシステムにしたということです。
そうすることで、事務の委託費を効率的に使って圧縮できないか検討するというわけです。
菅官房長官は8日、今後の見通しについて次のように述べています。
「公募の取りやめで事業開始が全体として『遅れる』ことは避けられないが、可能な限り早いタイミングでキャンペーンを開始できるよう、迅速に検討していきたい」
政府関係者によると、8月に入りそうだという話が出ています。「一番、効果があるときに始まっていないと意味がない」という声は当然出てきます。
キャンペーン自体は経済を活性化させる目的ではありますが、全部、税金です。1兆7000億円のうち3000億円が事務経費でとられてしまう。やはり使い道を精査して、きちんと説明してほしいと思います。
2020年6月8日放送 news every.『ナゼナニっ?』より