台風被災のリンゴ農家 コロナで復興に遅れ
新型コロナの影響で、大きな遅れが出ているのが災害からの復興です。
去年の台風で、千曲川が決壊し、大きな被害が出た長野市。
もし、今、大雨に見舞われたら・・・。
■復興遅れるリンゴ農家
長野市、千曲川沿いにある住宅地。
岩本乃蒼アナウンサー「このあたり多くのものが流されていたんですが、新地になってこれだけ緑になってる。随分と景色が変わりましたね」
泥で覆われ流された災害ゴミが散乱していたこの場所。
2019年10月、台風19号による大雨で千曲川が決壊。
決壊現場を中心に6.5kmの範囲で浸水し、住宅やリンゴ畑など、甚大な被害が出ました。
6月22日、訪ねたのはリンゴ農家の下川英紀さん。
リンゴの木には多くの実がついていました。
決壊現場からわずか100mほどの距離にある下川さんの自宅は、濁流にのまれ全壊。
400本ほどあったリンゴの木は、ほぼすべて被害に遭いました。
岩本アナ「(リンゴの)花が咲いた時はどんな気持ちでしたか」
下川英紀さん「『咲いてくれた』って気持ちですね。花咲いてくれればなんとかなるって思っていました」
岩本アナ「去年出荷できなかった今年のリンゴへの思いは違う?」
下川さん「違いますね、はい。」
1年ぶりの出荷に期待をよせる下川さん。
しかし、そこにもコロナによる影響が。
岩本アナ「奥の倉庫・・・」
下川さん「解体しました、壊しました」
収穫したリンゴを保管する倉庫。
建て直すための解体工事が始まったのは2週間前です。
下川さん「本当は8ヶ月くらいたってるので、もっともっと前にやりたかったと思うんですけど、コロナの影響で・・・人の流れがとまっちゃってるので」
さらに、現場を密にしないため、大工の人数も限られ、工事の進みも遅いといいます。
■全国からボランティアを集められない理由
一方、2月末から約3ヶ月間活動を休止していた災害ボランティア。
検温やフェイスシールドなど、対策を取り活動を再開しました。
今は長野市内に住む登録者のみ受け付け。
全国から集めていない理由は?
長野市地域福祉課・海沼充事務局次長「一番は被災して困難な生活に陥っている被災者の方にウイルスをうつしてしまう、それは一番避けなければいけない」
もし今、災害が起きたら?
下川さんは話します。
「(自分のいた)避難所でマックス240人くらい。今そんなことできない。避難する場所、形態も変わっていく。(今災害がおきていたら)もっと再建も遅れてたと思うし、もっと人も離れるし、もっと農業もやめている人いると思う」
2020年6月22日放送 『news zero』より