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松本サリン事件の犯人にされた私

2020年6月26日 14:00
松本サリン事件の犯人にされた私

松本サリン事件。

河野義行さん「そんな悲しい顔しないで」

妻も犠牲になったのに、犯人にされた私…。

河野さん「人生の中で不幸と感じたことはない」

深夜の住宅街に突如まかれた猛毒のサリン。オウム真理教による犯行でした。

記者「第一通報者の会社員が今車の方に向かいまして退院しております」

第一通報者の河野義行さんは、オウムの犯行とわかるまで約1年間、警察やマスコミから犯人のように扱われました。

最終的に8人が死亡。重軽傷者600人に及んだこの事件。その中に河野さんの妻・澄子さんも含まれます。事件により重いサリン中毒に陥ってしまいました。

河野さん「大丈夫、大丈夫。大丈夫。そんな悲しい顔しないで」

いつもかける言葉。入院する妻の元に毎日のように通い続けました。

しかし、事件から14年がたった2008年。澄子さんは松本サリン事件8人目の犠牲者に…。

記者「事件が起きなければと考えることは?」

河野さん「あまりないですね。起きてしまったことというのは、後から取り替えることというか変えることができないわけだから。そんなに僕人生の中で不幸と感じたことはない。例えば事件当時、本当に安らげると思った時期が、無言電話とかそういう電話が1件も入らない日があった。そうすると平穏というのはこういうことなんだなという」

2018年、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚ら13人の死刑執行。河野さんから憎しみや恨みを聞くことはありません。

河野さん「1つは『恨んでどうなるの?』と。過去は変えられないわけでしょ?恨んで妻が元気になって戻るとか何かがあれば恨む意義もあるけど。そういう不幸なことも人生の歴史の1コマということで切り替えていかないと、不幸の上に不幸を上塗りするような人生になってしまう」

70歳を過ぎた河野さんは故郷の愛知で暮らし、月2回ほど講演を行っています。

河野さん「私が潰れなかったのは、意識不明とはいえ妻が生きていた。そのことが大きいと思います。自分という人間を本当に100%信じてくれる。そういう人をたった1人でいいです。ぜひ作っておいてください。そうすれば辛くてもちゃんと戦っていけます」

※テレビ信州で制作したものをリメイク。2020年2月放送、NNNドキュメント50周年特番「あなたは、いま幸せですか?」より。

【the SOCIAL×NNNドキュメントより】

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