「ワクチン」開発いつ? 最新情報まとめ
東京でも、海外でも、新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向となっていますが、救世主となるワクチンは一体いつできるのでしょうか。
世界のワクチン開発の最新情報について詳しく解説します。
■「宣言」解除後で最多 東京で107人感染
東京都では7月2日、新たに107人の感染が確認されました。緊急事態宣言の解除後、最も多い数字で、100人を超えるのは154人が確認された5月2日以来です。この中には“夜の街”関連の方が多く含まれるということです。
1日に東京で確認された67人の感染者の内訳は以下の通りです。 “夜の街”関連は27人。このうち11人は、池袋の飲食店の客と従業員。
職場での感染が6人。このうち3人は秋葉原にあるメイドカフェの従業員。
家庭内での感染は4人。このうち2人は、すでに職場で感染していた父親から10歳未満の子どもたちに感染したというものでした。
感染経路不明は20人です。
■いまどこ?「ワクチン」開発 3つの段階
第2波が懸念される状況になり注目されるのがワクチンですが、私たちの手元にいつ届くのかが気になります。
現在開発中のワクチンは、世界中で140以上にのぼります。その中でも先頭集団を走っているのがイギリスやアメリカの企業で、今年の秋の完成を目指したいとしています。さらに、中国の企業も年内の完成を目指しています。あくまでも現時点の目標なので、本当に完成するかはまだ分かりません。
ワクチンの開発はどのように進められるのでしょうか。
まず動物に投与し、その後、実際にヒトで安全性や効果を確かめる「治験」に進みます。治験がうまくいくと、国の審査を経て正式に「承認」され、初めてワクチンや薬として世に出回ります。通常、この過程に数年から十数年かかると言われています。
最も時間がかかるのが「治験」ですが、3つの段階に分かれています。
第一段階 少人数で「安全性」を確認
第二段階 数百人規模で「有効性」を調べる
第三段階 数千人規模で安全性と有効性すべてを確認
実際に今、この治験まで進んでいる企業などが17ありますが、中でも最も進んでいるのがイギリスです。2番手がアメリカや中国の企業。アメリカのファイザーという製薬会社は第一段階の治験で、前向きな結果が得られたと7月2日に発表しました。
日本はというと、大阪の大学発のベンチャー企業が先日、第一段階に入ったと発表しています。日本で治験の段階まで進んでいるのはこの1社のみですが、色々な製薬会社や大学などが開発に乗り出しています。
例えば、九州大学は6月26日、大学内で飼育するカイコの体内でワクチンの候補となるタンパク質の開発に成功したと発表しました。2021年度には「治験」に入りたいとのことです。
カイコは人工飼育で簡単に安く増やすことができるので、ワクチンの大量生産にも向いているといいます。また、将来的には注射で接種するだけでなく、サナギの状態で直接食べて腸から吸収される“食べるワクチン”も期待されています。サナギの原型をとどめない形での提供も視野に入れているということです。
■「ワープ・スピード作戦」とは?
このように、世界中で様々なワクチン開発が行われていますが、実際にワクチンとして完成するかはまだまだ未知数です。最有力候補のイギリスのワクチンも『9月までの成功率は50%』だとしています。それだけワクチン開発は難しいということです。
ワクチン研究が専門の東京大学医科学研究所・石井教授によると『ワクチンは効き目があるけど副反応があるとダメ。実用化できるものは“ほんの一握り”あるかないか』ということです。
ワクチンが完成したあとも大変です。通常、海外製のワクチンが日本で承認されるには1年以上かかります。しかし今回は「特例承認制度」を使う可能性があります。これは、海外での販売実績があれば短期間で承認される制度だということです。
海外でもスピードが非常に重視されています。
アメリカでは「ワープ・スピード作戦」が発表され、1兆円あまりを投じて、2021年1月までにアメリカ国内向けにワクチン数億本の供給を目指しています。
最有力候補のイギリスのワクチンも、このアメリカの「ワープ・スピード作戦」の支援を受けていて、有効性の確認が終わる前から3段階目の治験を同時並行で進めていて、すでにブラジルなど2000人規模の治験が始まっています。
つまり、国を超えて、すでに激しいワクチン争奪戦が始まっているということです。
イギリスのワクチンは実用化されれば、まずイギリス政府が1億回分のワクチンを確保する契約をすでにしていますが、アメリカ政府はイギリスを上回る3億回分を確保する約束をしているということです。日本政府も交渉に入っていますが、どれくらい確保できるかはまだ分かりません。
本当に安全で、かつ効果があるワクチンを開発するのはとても大変なことです。
世界的なパンデミックを収束させるには、ワクチンがみんなに行き渡らないと意味がありません。完成したときには、必要な人にちゃんと行き届く仕組みを今から各国が協調して考えておくことも大事だと思います。
2020年7月2日放送 news every.「ナゼナニっ?」より