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トルコ地震に派遣の警備犬とは...嗅覚いかし人命救助活動 現場の最前線で活躍

2023年2月17日 22:27
トルコ地震に派遣の警備犬とは...嗅覚いかし人命救助活動 現場の最前線で活躍

トルコ南部を震源とする地震ではこれまでに4万人以上が死亡するなど、甚大な被害が出ています。その中で、一人でも多くの人を救助しようと、トルコ政府の要請で派遣されたのが警視庁の国際警察緊急援助隊。警視庁によりますと氷点下の寒さの中、24時間体制で昼夜問わず活動を行うなど過酷な現場だったといいます。

そんな過酷な現場に派遣されたのは隊員だけではありません。現場の最前線で活動したのが警視庁の警備犬です。今回派遣された警備犬とはどんな能力を持っているのでしょうか。

■警備犬はどんな能力をもっている?人命救助から爆発物捜索まで

警備犬はどんな仕事をしているのでしょうか。

警備犬は刑事部の「警察犬」とは異なり、警備部の警備2課に所属しています。人のおよそ5000倍ともいわれる嗅覚をいかして、災害時に現場に出向いて被災者を捜索するほか、国葬やG7サミットなど大規模な警備が必要な際などに爆発物がないかどうか、捜索します。警視庁によりますと、警察犬訓練所の中で、警備犬の素質を持つと判断された犬が1、2歳で「スカウト」され、訓練を積むといいます。

警備犬とタッグを組んで働くのが「ハンドラー」と呼ばれる警察官。警備犬の能力を最大限に引き出すべく、共に日々の訓練を積みます。通常の訓練は、朝、午前、午後の3回。どんな現場でもハンドラーの指示通りに動くための訓練のほか、決められたエリアに隠れた人を、においをたどって捜索する訓練などを行います。

警備犬が捜索、救助活動のために海外に派遣されるのは2017年のメキシコでの大地震以来、およそ5年半ぶり8回目。

今回、トルコに派遣された警備犬は4匹です。4匹とも災害現場への派遣は初めてだったとのことですが、これまで警察庁のほか、消防庁や海上保安庁などの職員から構成される国際救急援助隊の総合訓練に参加するなど、能力を磨いてきました。現地では氷点下の中、24時間体制で救助活動するなど過酷な現場だったとのことですが、4匹は訓練通りの働きをみせ、がれきの中での救助活動に貢献したといいます。

(写真左から)
●ヴェルンヘル号。ジャーマン・シェパードの4歳、オス。警備犬としてのキャリアはおよそ3年で、明るく人なつっこい性格だということです。

●タック号。今回の4匹のうち、唯一のラブラドール・レトリバー。4歳、オスで警備犬としてのキャリアはまだおよそ2年目ですが、天真爛漫の人気者。小柄ながらも捜索能力は抜群だということです。

●クレッフ号。ジャーマン・シェパードの5歳、オス。4匹の中では一番のベテランでキャリアはおよそ5年。仕事に対する意欲が旺盛だといいます。

●ウルフリーダ号。ジャーマン・シェパードの5歳で、今回派遣された中では唯一のメス。キャリアはおよそ4年で、雪山縦走など過酷な訓練を積んできたといいます。

15日に帰国した4匹は17日、ハンドラーや特殊救助隊の隊員ら14人とともに警視庁での帰任式に参加しました。

ハンドラーとして4匹と共に、救助にあたった警備2課の杉本雅彦警部補は現地での活動の難しさについて、「普段と違う環境の中で犬の体調を常にベストに保つということの難しさを非常に感じました。」と語ります。

そして今後については。

「被災地では家を失って、家族の安否も未だわからない被災者の方が多くいらっしゃいます。そういった方々の思いにこたえるためにも、今後、国内外を問わず発生するかもしれない災害に対して、自分たちに与えられた任務を全うするため、これからも日々訓練に励んでいかなければならないと感じました。」