27日夜にも“弾道ミサイル”打ち上げか…北朝鮮が事前通告 狙いは… 【#みんなのギモン】
北朝鮮が、27日午前0時から来月4日午前0時までで「人工衛星」を打ち上げると日本政府に通告しました。北朝鮮が衛星打ち上げなどと称して弾道ミサイルの発射を事前通告したのは、今回で8回目です。
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27日のギモンは「北朝鮮『人工衛星』27日にも?」です。
27日午前0時から来月4日午前0時までで、北朝鮮は「人工衛星」を打ち上げると日本政府に通告しました。
打ち上げる方向についても伝えていて、北朝鮮から見て南の方向の3つの海域に落下物があるかもしれないと警告してきました。
対象とした海域は、去年11月に打ち上げたときと全く一緒ですが、そのときには発射から約10分後に沖縄本島と宮古島の間の上空を通過。そして2つの海域で落下物もありました。政府は発射を受けてJアラートなどで情報発信を行いました。
そこで27日のポイントは…
◇今年中にあと3基 “自分たちも上から…”
◇“決して諦めない”金正恩氏の思惑
そもそも、北朝鮮が衛星打ち上げなどと称して弾道ミサイルの発射を事前通告したのは、今回で8回目です。
去年は3回、通告がありました。5月に通告したときには打ち上げに失敗。そして8月も失敗。11月の通告があったときには、ようやく成功したと発表しました。
北朝鮮は、通告したとき以外にもミサイルを撃ってきています。通告の有無の違いはなにかというと、日本やアメリカから見ると全部ミサイルですが、北朝鮮の方は「衛星」と「ミサイル」を分けていて、自分たちが「衛星」だとしたときには事前通告をしています。過去8回の発射は、全て「気象衛星」や「偵察衛星」の打ち上げだと主張してきました。
(今回の事前通告は)ミサイルの発射実験ではないので事前の通告も行って、国際ルールに沿って人工衛星の打ち上げをやっていますよというポーズを作るためです。
ただ、前回は通告した期間に入る前に「奇襲発射」をしました。天候とかの影響も考えられるので、撃てるときに撃つという傾向があります。
27日から8日間の間にいつ撃つのか。防衛省関係者は「天候などの条件が整えば初日(27日)の発射の可能性が高い」というふうに話しています。
ちなみに発射を予定している地域の天気予報は、27日夜から28日にかけて晴れ。27日夜にも発射があるのではと警戒が高まっています。
こうした「人工衛星」について、金正恩総書記は、今年は今回も含めて3基を打ち上げる方針を示しています。
一体、衛星で何をしたいのかという点ですが、去年11月、打ち上げた軍事偵察衛星は地球を回る軌道への投入に成功したとしています。国営メディアは、地球儀の前で満面の笑みを浮かべる金総書記の写真も掲載していました。
そして、発射から1週間たった後の行動では、衛星がすでにいくつか写真を撮ったと報じました。何を撮ったのかというと、「ホワイトハウス」、そして「国防総省」。さらに、アメリカ海軍の基地やイギリス軍の空母もとらえたというふうに主張しています。
ただ、画像などは公開されていないので、これがどれほど精密なのか、そもそも撮影に成功しているのかどうか、検証する手段はありません。
衛星を打ち上げる本当の狙いについて、北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・礒崎敦仁教授は、「目を持つこと」だといいます。
ミサイルを戦闘に使うためには、敵がどこにいるか位置を正確に把握するための「目」をもつ必要があるということです。
そして、もう1つは「自分ばかり上からのぞかれて悔しいから」と磯崎教授は表現しました。アメリカや韓国、日本も偵察衛星をもっていて、常に北朝鮮を上から監視できる状態にある。だから、そこに追いついて自分たちものぞいてやりたいという狙いもあるんじゃないかということです。
北朝鮮のこれからの脅威はかなり高くなってくる可能性があるといいます。
そこで次のポイント「“決して諦めない”金正恩氏の思惑」です。礒崎さんは、北朝鮮の偵察衛星について「まだ初歩的な技術かもしれないが、時間をかけて伸ばしてくる。何度失敗しても決して諦めない」と分析しています。
偵察衛星の精度が上がれば、すでに開発済みのミサイルと合わせて、日本にあるアメリカ軍の基地などを攻撃する能力を高める可能性があります。
そして今回の通告、なぜ今だったのか。このタイミングについてですが、礒崎さんは「粛々と計画に沿っているだけ」という見方をしています。
北朝鮮でも6月頃から梅雨シーズンに入って、打ち上げがだんだん難しくなってきます。今年3基打ち上げると言っていて、そろそろ半年たつので1基打ち上げないと間に合わないというスケジュール感もあります。
海上保安庁は、上空を通過する可能性がある沖縄県周辺を中心に航行警報を発表して船舶に注意を呼びかけています。
(2024年5月27日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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