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新型コロナワクチンどうなる4回目…自治体担当者「早めに具体的な情報を」

2022年4月1日 2:42
新型コロナワクチンどうなる4回目…自治体担当者「早めに具体的な情報を」

新型コロナワクチンの3回目の接種が進められる中、4回目についての議論も出てきた。先を急ぐ政府に対し、困惑の声も。同時並行での対応を求められる自治体にも話を聞いた。

■3回目接種率約4割と伸び悩み…背景には開始時期の遅れ

「4回目となると現場は混乱すると思う」

頭を悩ませるのは東京都内のある自治体のワクチン担当者だ。現在、3回目の接種が進められているが、その接種率は3月末時点で65歳以上の高齢者は81.9%と高い割合となっているが、全年齢では41.0%(3月31日公表 首相官邸ホームページより)と伸び悩んでいる。

そもそも3回目接種は出遅れ、流行の拡大に間に合わなかった。厚生労働省は去年9月、3回目について議論を始めたが、当初、接種間隔を8か月と決めたため、接種予定は、医療従事者などは去年12月から、高齢者は今年2月からとなり、ワクチンの供給もそれに合わせて計画していた。

しかし、オミクロン株の影響で一気に感染が拡大。

政府は接種間隔を6か月に短縮したが、ワクチン供給が追いつかず、急な前倒しで、接種券の送付に苦慮する自治体もあり、まず優先して急がれるべき高齢者への接種も狙い通りの早さでは進まなかった。

過去最多の感染者数が報告された2月初旬時点の接種率はわずか3.5%程度。接種遅れの影響で、特に施設にいる高齢者での感染が拡大し、入院する感染者のうち、介護が必要な人や認知症の人が増え、看護師らが介護も行わなければならないことが、第6波の大きな特徴となった。

厚労省発表の全国の高齢者施設でのクラスター件数は、今年1月末に2498件(1月31日時点)だったのが、2月末には4114件(2月28日時点)と急増し、現在も増えている状態だ。

■始まった4回目への議論…専門家「しっかり情報収集を」

現在、3回目の接種が広い年代を対象に進められる中、次に向けた動きが出てきた。

後藤厚労相は3月16日、4回目接種用に、今年7月以降、ファイザー製7500万回分、モデルナ製7000万回分を確保したと発表。

4回目接種に向けた議論が始まった。3月24日には厚労省の専門家会議も開かれ、4回目については、科学的知見を集めていくとした上で準備を進めることが了承された。

この会議にも出席していて、政府の新型コロナウイルスに関する基本的対処方針分科会のメンバーでもある日本医師会の釜萢敏常任理事は「3回目については速やかに幅広い年代に打っていただきたい」とした上で、「今、4回目を急いでもデメリットの方が大きいのではないか」と話す。

「まず、4回目についてはまだエビデンスが十分にない。症例数がまだまだ少ないので、もう少し情報収集に努め、しっかりと評価する必要がある。今急ぐべき条件はないと思う」との見解を述べつつ、「3回目の反省をいかして、4回目に向けてワクチンの確保などを進めることは大事」と政府に対して準備を求めた。

海外を見ると、イスラエルでは去年の年末から、ドイツでは2月から4回目接種を開始している。このほかフランスやイギリスも今月から開始するなど徐々に広がってきている。

また、アメリカではFDA(=食品医薬品局)がファイザー、モデルナともに50歳以上を対象に4回目接種を行うことを3月29日に承認した。

■自治体の戸惑い…「早めに具体的な情報を」

4回目接種について「5月開始を目指す方向で政府が調整に入った」との報道に「驚いた」と話したのは冒頭の自治体担当者だ。

自治体に対しては、3月25日に厚労省から「現時点から2か月程度をめどに接種券の発送準備を」といった通知が出されている。

しかし、各自治体は、現在、3回目の接種を推進している最中で、頭を抱える様子がうかがえる。

「現状まだ3回目の接種が全然進んでいないし、小児(5歳~11歳)もある。12歳から17歳の接種も始まったばかりの状態で、ここにさらに4回目となると、現場はかなり混乱するのが予想できる」と言う。

中でも実務面で懸念しているのは、「3回目接種がまだの人にも4回目の接種券を送付することになるが、果たしてそれでいいのかと思う一方で、(3回目接種の有無で)券を送る、送らないというのは複雑すぎて対応できない。会場についても、すでに(3回目接種の)集団接種は予約の空きがある状態だから、4回目となった場合に個別接種だけで進めるのかなど検討が必要になる」と不安を漏らした。

別の自治体の担当者も、「早く通知を出してくれるのはありがたいが、3回目の時のように後からどんどん変更がくると大変。対象年齢や接種間隔、ワクチン供給スケジュールなど、しっかりとした情報を自治体にもきちんと共有してほしい」と求めた。

一方、厚労省予防接種室の担当者は、「今は海外の治験など情報を集めている状態。3回目の時も自治体への体制確保の通知は9月に出しているし、今回もまず準備のためにということで通知を出した。ワクチンはすでに一部確保してあるし、ある程度動きやすくなるのでは」と話す。

現時点で4回目の開始時期について具体的なスケジュールは示されていないが、去年12月にいち早く接種した医療従事者や高齢者は、5月には3回目接種から5か月が経過する。

ここから加速するとみられる4回目接種の議論。政府には、適切な判断と、自治体や国民に対して迅速かつ丁寧な情報提供が求められる。