グアム島「にっぽん丸」衝突事故で報告書
おととし、グアム島で商船三井客船のクルーズ船「にっぽん丸」が桟橋に衝突した事故で、国の運輸安全委員会は、船長が他の乗員らの助言に耳を傾けず、自分が正しいとの過信のもとで操船を続けたことが事故につながったとする報告書をまとめました。
この事故は2018年12月30日の夜、グアム島のアプラ港で、サイパンに向け出港しようとした商船三井客船の「にっぽん丸」が後進しながら旋回しようとしたところ、操船を誤り船尾が桟橋に衝突したものです。
客419人と乗員205人にけがはありませんでしたが、その後、日本の海上保安庁が、船長の男を業務上過失往来危険の疑いで書類送検したほか、国土交通省も、出港前に船長らが飲酒していたなどとして、商船三井客船に対して行政処分をおこないました。
船長は船の進行方向を決める「ジョイスティック」と呼ばれる装置を扱っていましたが、ほかに船の位置などを示す機器を見ること無く操船していて、運輸安全委員会は船長が自分の操船が正しいと思い込んでいたことが事故につながったとしています。
また、船長の周囲には水先案内人や航海士もいて、船の異常な動きに対して助言をおこなったにもかかわらず、聞き入れられませんでした。
事故報告書では、操船中は他の乗組員らとの意思疎通や情報交換をはかることが必要としています。
一方、操船ミスと飲酒の因果関係については分からなかったとしています。