がんの診断や治療 コロナ前と同程度の人数に戻る
去年、がんの診断や治療を受けた人の数は、新型コロナウイルスの影響でそれまでより減った2020年より増え、コロナ流行前と同程度に戻ったことが国立がん研究センターの分析でわかりました。
これは、国立がん研究センターが全国のがん診療を行う主な医療機関455施設の患者データを分析したものです。
去年、がんの診断や治療を受けた新たながん患者は、のべ80万6589人で、2020年より、およそ5%増えました。2020年は、新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言などで、がん検診を一時的に取りやめた医療機関があったことや、感染を恐れ、がん検診を控える人がいた影響がみられ、それまでの年より減っていました。
しかし、去年の新たながん患者は、コロナ禍の前の2018年、19年と同じ程度の数に戻ったということです。
その一方で、初期症状がみられにくい胃がん、大腸がん、肺がん、子宮けいがんなどでは、検診でがんが見つかった例がコロナ禍前よりも減っていました。また、多くの種類のがんで、早期発見の数がコロナ禍前より減少したということです。
国立がん研究センターは、2020年、コロナ禍で診断数が少なかった分、患者数が去年に上乗せされたとは言えないだろうが、今後も推移をみていく必要があると説明しました。また、診断数が減った影響で、進行がんの人が今後増えることがないかフォローアップするとしています。
そして、「がん検診、診療は不要不急ではない。予防策、ワクチン接種も進んでいるので、通常通りしっかり検診・通院して診療いただければ」と呼びかけています。