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休診日に会おうぜ!~毒舌院長「大丈夫、みんなできる」~

2022年10月21日 13:02
休診日に会おうぜ!~毒舌院長「大丈夫、みんなできる」~
山梨県にある歯科の院長、斉木薫さん72歳。一般患者の休診日を利用し障がいがある子どもたちの診療を長年続けています。効率や合理性を度外視した『患者さんに合わせ、患者さんを待つ診療』。真っすぐ子どもたちと向き合う院長とそこに集う人々の心の交流の記録。

大丈夫、みんなできる。休診日に子どもが集まる 毒舌歯医者さん。

斉木院長「詰めるの」

患者「何を?」

斉木院長「鼻くそ!」

斉木薫さん(72)。障害や発達障害がある子どもたちの診療をしています。

斉木院長「俺が面白いんだよ。夢中になれる。予防が歯科って基本だから。小さい時からこうやって練習していけばどうってことないし」

一般患者の休診日の木曜。でも、待合室は何だかにぎやか。時には、怖がる患者もいます。

記者「声かけないんですか?」

斉木院長「大丈夫、よしきは。あんなもんだから」

斉木院長「よしき行くぞ、ほら」

「身体抑制」や「麻酔」が使われることが多いなか、心の準備ができるまで待つのが斉木流。

斉木院長「まだ!帰れないぞ。どうする?泊まってく?」

どんな時も最後まで歯の治療はあきらめません。

斉木院長「お疲れ、お疲れ」

患者の母「羽交い絞めにして治療するしかない状態で。それはかわいそうだし、しんどそうだったので」

患者の母「暴れたり大声を出したり、もちろん待つこともできないですし。こちらの先生は本当に時間をかけて向き合ってくれて。この先生は大丈夫だって、子どものなかでも、わからない中でもそういう信頼関係ができてきて」

この日やってきたのは、やんちゃすぎる、ゆうだいくん(8)。

斉木院長「君か、噂の…。初めからみんな『障害だからできない』とか『障害だからしょうがない』っていう、その発想が一番問題。障害でもみんなできるから普通に」

斉木院長「はい!練習練習!お前練習が全然足りない!早く行くよ!お母さんできるまで(外に)行ってていいよ」

斉木院長「はい、ゆうだい座って。ちゃんとする。座らないと終わらないよ。泣こうが騒ごうが終わらないよ。座る!ちゃんとやって。人の言うことを聞く!」

斉木院長「はい、練習。い~ち、に~、さん。はい!よくできました。偉いよ。終わった、行くよ」

ゆうだいくんの母「すいません、ありがとうございました」

斉木院長「大騒ぎ!ははは。ちゃんと座ったぞ1回。毎週連れてきて」

ゆうだいくんの母「毎週?はい」

斉木院長「そして少しずつ諦めさせるから。来られる時に。それで少しずつ諦めさせるから」

斉木院長「もうあのレベルが来ると疲れちゃった、私。若くねぇな…」

いま、息子の林太郎さん(46)が隣で院長を支えています。

息子・林太郞さん「父でなければおそらくこういう診療スタイルはできないだろうなとは思っていました。基本的には全身麻酔下であったり、拘束具で動かないようにして治療するのが当たり前の世界でやっていたので。僕が多分ゼロとかイチから始めていたら何年かかるか分からない」

あれから1週間後。

斉木院長「はい、ゆうだいここ。はい、がんばれ。い~ち、に~、さ~ん、し~、ご!はい、OK!よくがんばりました。おしまい。よく褒めてやる。おかあちゃん、うんと褒めてやらなきゃダメ!よくがんばったから。偉いぞ!お前は偉い!」

斉木院長「またな~、よくできた!」

ゆうだいくん母「何かちょっと救われた気持ち。また来週も来ます!」

斉木院長「人って全部違うから面白い。人間は尽きないもん。特にああいう個性的な子たちはさ。大丈夫。面白いと思っている限りやるから」

飛び跳ねたって、大きな声を出したって、大丈夫。困ったら、ここへおいで。

斉木院長「またな~!は~い」

2022年9月4日放送 NNNドキュメント’22『休診日に会おうぜ!~毒舌院長「大丈夫、みんなできる」~』をダイジェスト版にしました。
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