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旧優生保護法問題の調査報告書 衆参両院の議長に提出 子宮や睾丸摘出の実態も

2023年6月19日 20:47

1996年まで存在した旧優生保護法によって障害者らに不妊手術を強制した問題について、国会が報告書をまとめ、衆参両院の議長に提出されました。

旧優生保護法は、1948年から 1996年まで存在し、「不良な子孫の出生を防ぐ」ことを目的として、身体や精神の障害がある人などに対し、妊娠、出産しないよう不妊手術が強制されていました。

19日、衆参両院の議長に提出された国会の調査報告書はおよそ1400ページにのぼり、法律の成立過程や手術の実施状況、諸外国の状況などが盛り込まれています。

その中にある厚生労働省のまとめでは、実施された手術は2万4993件で、女性が75.2%、男性が24.8%。年代としては、1955年まで手術件数が増加し、その後は減少基調となって、年間100件を下回っていたということです。

今回の報告書には、医療機関や地方自治体などに残っていた記録の詳細も盛り込まれています。都道府県などが資料を保有する6550人分の詳細をみると、「経済状況などから育児が困難」と判断されて手術が行われた例のほか、家族の意向や福祉施設の入所条件とされた例もあったとしています。

また、手術方法としては、旧優生保護法では、卵管や精管を結びつけることなどとされているにもかかわらず、法律で認めていない子宮や睾丸の摘出が行われた実態も記されています。また、最年少は男女とも9歳だったということです。

この問題では、2019年に救済法が成立し、国は再発防止に向けた調査を行うこととされていました。