再審無罪「松橋事件」 国に賠償命じる判決
今から40年前に熊本・松橋町で男性が殺害された「松橋事件」。犯人として有罪判決を受け、服役後に再審=裁判のやり直しで無罪となった男性が「違法な捜査があった」と訴えた裁判で、熊本地裁は14日、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、1985年に現在の熊本県宇城市で男性を殺害したとして逮捕され、有罪判決を受けた宮田浩喜さんが起こしたものです。
宮田さんは懲役13年の有罪判決を受けて確定しましたが、服役後に「自白は強要されたもの」と訴え、再審を請求。
やり直しの裁判では、宮田さんの自白調書で「刃物の柄に巻き付けて犯行に及んだ後、燃やした」とされた“シャツの袖”を熊本地検が保管していたことが判明。
熊本地裁は2019年、「犯人と示す証拠がない」として無罪を言い渡しました。
宮田さんは、「警察官がウソの自白を誘導し、検察官は無罪の証拠を裁判に提出せず隠した」と訴え、国と県に8400万円あまりの賠償を求めて提訴。
その後、87歳で亡くなったため、遺族が裁判を引き継いでいました。
14日の判決で熊本地裁の品川英基裁判長は、シャツの袖が見つかったことで有罪は認められないと判断すべき状況になったと指摘。地検が、「シャツが残っている理由を宮田さんに質問することなく、有罪を求めたことは違法」と述べました。
一方で、「県警の取り調べに違法性はなかった」として、国に対し、2380万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。