天皇陛下 前立腺肥大で「生検」へ MRI検査で「懸念される所見なし」
宮内庁は、天皇陛下のMRIの検査結果について、「前立腺の肥大が認められたものの、特に懸念される所見はなかった」と発表しました。念のため、追加の検査を受けられるということです。
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天皇皇后両陛下は8日、「全国老人クラブ連合会」創立60周年記念の大会に出席されました。
「これからも、みなさんが健康に十分、留意されながら活躍されることを願い、大会に寄せる言葉といたします」
参加者の健康を気遣われた陛下。この2日前の6日に東大病院で前立腺のMRI検査を受けられました。これまでの血液検査の中で、前立腺の疾患の可能性を示す数値が、正常より少し高くなっていたといいます。
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検査をすると発表されたのは、10月3日のことでした。陛下は検査までの間、沖縄訪問など多くの公務に臨み、検査した後も精力的に行事に出席されていました。
そして10日、宮内庁は陛下の検査結果について、「検査では、前立腺の肥大が認められました。特に懸念される所見はありませんでしたが、念のため、今月中に生検をお受けいただくこととなりました」と発表しました。
検査結果のポイントは「前立腺の肥大」、「懸念される所見なし」、「生検」の3つです。前立腺の病気に詳しい、東京慈恵会医科大学の頴川晋前主任教授に聞きました。
◇ポイント1:前立腺の肥大について
東京慈恵会医科大学・泌尿器科 頴川晋前主任教授
「一言で言うと、国民病というか、当たり前の状況です。40歳以上の人ですと、肥大症だと分かる方が8割」
「前立腺肥大症」は年を重ねると珍しくなく、“尿がしづらい”などの目立った症状がない限り、治療しない人も多いといいます。
宮内庁によると、陛下も自覚症状はないということです。
◇ポイント2:懸念される所見なし
東京慈恵会医科大学・泌尿器科 頴川晋前主任教授
「肥大症があっただけで、がんではない条件をクリアしている。肥大症がこうじてがんになるということは、100%ない」
◇ポイント3:生検とは
東京慈恵会医科大学・泌尿器科 頴川晋前主任教授
「MRIで見えない病気があることもあるので、念のために細胞の検査(=生検)をしようと。医学的には家族歴といいまして、お父さま、ご兄弟が病気の時は(がんの)可能性が2~3倍高くなるので、(生検を)判断されているんだろうと」
上皇さまは、2003年に前立腺がんの手術を受けられました。家族の病歴をふまえ、陛下は念のため、より精密な検査(=生検)を受けられるということです。
東京慈恵会医科大学・泌尿器科 頴川晋前主任教授
「(生検で)万が一病気があったとしても、限りなく早期のものだといえると思います」
陛下は、最近もジョギングをするなど、普段通りに過ごされているといいます。12日からは、皇后さまと兵庫県を訪問される予定です。