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感染拡大で子供の「受診控え」病状悪化注意

2020年12月11日 22:19
感染拡大で子供の「受診控え」病状悪化注意

新型コロナウイルス感染拡大の影響で病院にかかるのをちゅうちょする「受診控え」が子どもの病状を悪化させていることをうかがわせるデータが分かりました。医師らは「適切な時期に診察を受ける重要性」を訴えています。

お母さんに抱っこされて手を振っているのは生後11か月の女の子、なぎちゃん。元気な様子を見せてくれましたが…

なぎちゃんの母親「黄疸がひかなかったので肝移植をした方がいいということで」

なぎちゃんは、生まれつき肝臓の病気があると診断され、お父さんの肝臓の一部を移植する手術を受けました。10日、術後のチューブを抜く手術を終えて無事退院。お母さんが最初になぎちゃんの異変に気がついたのは今年4月。緊急事態宣言が出ていた時のことでした。

なぎちゃんの母親「(病院に行くのは)コロナが怖いなというのもあったんですけど診てもらおうと」

国内では、「病院で新型コロナに感染するのではないか」と受診を控える人が多くいました。しかし、なぎちゃんのお母さんは当時の様子を振り返ってこう話します。

なぎちゃんの母親「東京とかだと感染者の人数が多いので不安はあったんですけど、もしあのままコロナ落ち着くまで待とうかなと思って受診していなかったら手術の状態が悪くなったりだとか経過が悪くなったりが絶対あったと思うので早めに受診をしてよかったなと」

なぎちゃんの手術は、当初1、2か月遅い時期に予定されていましたが、検査を進めていくと、早い移植が必要だと分かったといいます。

なぎちゃんが入院していたのは子どもの難病などを治療する東京・世田谷の国立成育医療研究センター。センターはある研究結果をまとめました。

ことし、親族などの肝臓の一部を移植する手術を行った小児患者の手術前の病状を点数で表すと、去年に比べおよそ2倍の重症度だったということです。

山田医師「患者さんの病状が非常に重くなっていることが分かってコロナの影響(の受診控え)があるのではないか」

この研究を担当した山田全毅医師によりますと、新型コロナの感染拡大に伴い病院内での感染をおそれて受診を控える傾向が移植手術だけでなく、小児科全体でみられるといいます。しかし…

山田医師「手術を受ける前の状態が悪ければ悪いほど手術の後の状態も悪くなってしまう。保護者の方が『あれ?おかしいぞ』と思ったら必ず一度小児科の診療を受けていただく」

子どもの場合は軽い症状でも大きな病気が隠れている可能性もあるため医師は、コロナ禍においても早めに診察を受けるよう呼びかけています。