災いと禍 ~熊本からの警告~
女性「コロナが一番怖いです」
女性「(避難所で距離が)近いから人もいっぱいいるし」
2つのわざわいに見舞われた熊本。コロナ禍で起きた初の大規模災害でした。
球磨川が氾濫した熊本県では、65人が犠牲に…2人が行方不明となっています。
熊本県内の避難所を利用した人は最も多い時で2500人あまり。現場は感染防止対策に追われました。
避難者は徐々に増え、被災から9日、別の避難所で恐れていたことが。
熊本県 蒲島知事「感染された方は30歳代で男性、避難所運営業務に従事していたことが確認されています」
避難所では不安が広がりました。
避難所で暮らす男性「出入りが非常に激しいのは事実ですよね」
避難所で暮らす女性「怖いと思いました」
禍(わざわい)は被災地の復旧にも暗い影を落としていました。
女性「圧倒的なマンパワー不足ですよね。人が全然いなくて片付けも進まなくて、という状況がずっと続いています」
重機を使ったボランティアが感染対策の影響で県外から来ることが難しく、豪雨から1か月たっても復旧は手付かずのままでした。
中神さん「何にも変わらない…お盆なのにね。先祖が帰って来るところもないんですよ。かわいそうに」
そんな中、重機を使った復旧支援を行う団体が宮城県から駆けつけました。
萬代さん「みんなでPCR検査を受けた結果になります」
感染対策を取ったうえで自分たちの車両で丸2日かけて宮城からやって来ました。
萬代さん「我々がやっているのは、ただ流れてきた土砂をかき出す。ただ家財の整理の片付けを手伝うだけじゃないんですよ。住民さんの心の負担を取り除く。それが一番、住民さんが一刻も早く自立して立ち上がるきっかけになると思いますので」
石巻市(いしのまきし)で被災し、その時ボランティアから受けた恩。
今度は自分たちが次の被災地で返したいと、災害が起こるたびに全国を回り、重機を使った支援を続けています。
支援を受けた男性「助かりました。本当感謝です。やっぱり何かの時には機械でないと個人では」
萬代さん「『災害にもコロナにも我々は絶対負けられないよ』。同じ災害に苦しんだ者として『絶対負けないよ』ということを伝えていけたらなと思っています」
各地でようやく始まった瓦礫の撤去作業。豪雨から3か月。街も、元の姿を取り戻しつつあります。
塩田さん「災害は経験がありましたので、頑張れば何とか乗り切れるという思いはありました。でもコロナは、これだけはどうもできないな。終息するんでしょうかね…」
災害と新型コロナウイルス。ふたつのわざわいへの備えは、できているか。熊本からの警告が、いま日本中に向けられています。
※くまもと県民テレビで制作したものをリメイク。2020年10月放送、NNNドキュメント「災いと禍 ~熊本からの警告~」より。
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】