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日本版DBS法案審議へ 女性が証言…中学時代の教師から性被害「被害なくなるよう」訴え

2024年5月2日 22:30
日本版DBS法案審議へ 女性が証言…中学時代の教師から性被害「被害なくなるよう」訴え

来週にも国会で、子どもを性暴力から守るための法案の審議が始まります。柱となるのが、「日本版DBS」です。

「日本版DBS」とは、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか、学校や保育所などに確認を義務づける制度です。痴漢や盗撮などの条例違反を含む性犯罪の前科がある場合、受けた刑罰によって10年または20年の間、子どもと接する業務に就けなくなります。

子どもを守るためには、どんな制度作りが必要なのでしょうか。私たちは被害者、そして加害者を取材しました。2週にわたってお伝えします。5月2日は、中学時代の教師から4年あまりにわたって性被害を受けていた女性の証言です。

   ◇

2日、東京・霞が関にあるこども家庭庁を訪れた石田郁子さん。日本版DBS法案の国会での審議を前に、要望書を提出しました。

石田郁子さん
「法案が出された後ではあるのですが、少しでも良いものになってほしい」

実は、石田さん自身が性被害を経験した当事者。最初に被害にあったのは、中学卒業間近だった15歳のときでした。

男性教師から性被害 石田郁子さん(46)
「美術の先生に『美術館の招待券があるから行かないか』と誘われて、途中で私がおなかが痛くなって、車で先生の家まで行って」

加害者は美術教師の男性。一緒に訪れた美術館で腹痛に襲われた石田さんを、自宅に連れて行ったといいます。

男性教師から性被害 石田郁子さん(46)
「(教師が)近くに座ってて“何か口が近づいてくるな”と、“このまま黙ってたら、口がくっついちゃうな”と思って、一応その先生のあごを押さえる形でよけて。『実は好きだったんだ』と言われて、その後キスされてっていうのが最初の被害です」

当時は、これが"性被害"だとは、分からなかったという石田さん。

男性教師から性被害 石田郁子さん(46)
「何が起きたか分からなくて、怖いとか気持ち悪いとか、そういうのが何もない。本当は今振り返るとすごく怖い経験をして、もう怖すぎて、自分が感じる範囲を完全に超えてしまっていた」

その後も教師からの誘いは続き、行為もエスカレートしていきました。

男性教師から性被害 石田郁子さん(46)
「車の中で上半身の服を脱がされたり性行為とかいろいろ。誰かと付き合う経験がなかったので、自分で判断する余裕がなかったというか、向こうの言われるままにちょっと従っていたようなところがあった」

脅したり、口止めしたりすることもなく、石田さんに対しては「好きだ」などと言っていたという教師。

男性教師から性被害 石田郁子さん(46)
「学校の先生を疑う発想がない。まして(教師が)悪いことをすると思ってないので、だから先生がそれだけ真剣なのかと、当時は思ってしまった」

そうした教師との関係に、石田さんは違和感を持ちつつも大学2年生になるまで4年あまり、関係が続きました。

加害者が、教師など絶対的な立場の場合、被害者は心身ともに支配され、恋愛と思い込まされ、被害だとは気がつかない場合も多いといいます。

自らの経験が“性被害だったかもしれない”。

石田さんが気づいたのは、15年以上たった37歳のときでした。この頃、社会勉強のためにと、裁判を傍聴していたという石田さん。たまたま傍聴したのが、児童養護施設に通う職員による性加害事件の裁判でした。

石田郁子さん(46)
「職員と少女の年齢と関係性と、職員の言い分『恋愛だった』、何かその辺がすごく自分の状況と似ていると思って」

この裁判をきっかけに法律を調べ、専門家に相談し、徐々に、教師との関係が恋愛ではなく、性被害だったと気づきました。

刑事事件としての時効は過ぎてしまっていたため、民事訴訟を起こした石田さん。損害賠償請求は棄却されましたが、被害の内容は事実と認められました。

判決が確定したことを受け、札幌市の教育委員会は2021年1月、加害者の教師を免職処分にしました。

   ◇

こうした性被害をなくすため、国会で来週にも審議が始まるのが、「こども性暴力防止法案」(日本版DBS)。性犯罪歴のある人は10年または20年、学校や幼稚園・保育所などで、こどもと接する職業に就けなくする仕組みが含まれています。塾やスイミングスクールなどは対象外ですが、盛り込まれた内容を実施すれば国から「認定」を受けられます。

法整備を前に、被害防止に積極的に取り組む現場もあります。

茨城県つくば市にある学習塾。教室だけでなく、自習室にも24時間録画のカメラを設置。さらに、パーティションは大人の目線よりも低くし、中が透けて見える素材を使用しています。DBSの制度が始まったら、積極的に認定を受けたいといいます。

いくがくゼミナール すめらぎ代表
「全てに優先されるのは子どもの安全ですから」

塾に通う高校生
「本当にありがたいことで、勉強に集中できて良いことだなと」

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被害によって体の不調が生じ、PTSDの診断を受けたという石田さんですが、ここ数年は、子どもの性被害をなくすための活動を積極的に行っています。

石田郁子さん(46)
「せっかく政府がそういう画期的な制度を作ってくれるんだったら、少しでもそういう被害がなくなるようになってほしい」

性加害を行った教師でも警察に通報されずに犯罪歴にはならなかった場合、塾や家庭教師などには再就職してしまう懸念があり、石田さんは「それを防ぐ仕組みが必要だ」などと訴えています。

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桐谷美玲キャスター
「保育園や学校などは親の目が離れる場所なので、安心して預けられる環境であってほしいと思います」

鈴江奈々キャスター
「子どもたちが大人に接する場所は学校以外でも、学童や塾・習い事などいろいろありますが、そういった施設は犯罪歴の確認は任意なんです。ただ、その施設が確認などをすれば、認定を受けることができ、その情報は公表することができます」

「私たち保護者が認定を受けているか、積極的に調べて選択していくという流れができていけば、より安心して子どもたちが過ごせる環境が広がるのかな、と思います」