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【解説】変異ウイルス 国内初の市中感染か

2021年1月19日 21:03
【解説】変異ウイルス 国内初の市中感染か

■東京の重症者数 過去最多
東京では1月19日、新たに1240人の新型コロナウイルスへの感染が確認され、7日連続で1000人を超えました。重症者は12人増えて155人となり、過去最多となっています。

■国内初の変異ウイルス市中感染 発見の経緯
18日夜、厚生労働省は、海外渡航歴がない感染者3人から、イギリスで見つかった変異ウイルスが確認されたと公表しました。国内初の変異ウイルスの市中感染とみられます。
変異ウイルスが確認されたのは、静岡県に住む男女3人です。発見の経緯は以下の通りです。
まず、国立感染症研究所が1月、変異ウイルスを調べる中で、静岡県ではない国内の新型コロナ感染者1人に変異ウイルスの可能性があると分かりました。
しかし、結局この人についてはウイルスの量が少なく、変異ウイルスの確定検査ができませんでした。
一方で、この人の濃厚接触者だった20代の女性と、この女性と濃厚接触者だった40代の女性から変異ウイルスが確認されました。
さらに、この2人の女性と同じ保健所管内を調べたところ、60代の男性からも変異ウイルスが確認されました。
3人は1月上旬に発症して、いずれも自宅療養中です。3人とも海外渡航歴はなく、海外滞在歴がある人との接触もないため、国内で初めての変異ウイルスの市中感染とみられています。

国立感染症研究所の脇田隆字所長は、現在のところ、面的な広がりをもって市中感染が起きているという認識はしていないと話しています。つまり、まんえんしているわけではなく、まだ一部だということです。

■静岡で「たまたま」発見 変異ウイルス調査の実態
今回、静岡で発見されたのは、変異ウイルスの調査状況から「たまたまだった」といえます。
変異ウイルスについては、従来のPCR検査とは別の、特別なPCR検査にかける必要があります。そのうえでゲノム解析というステップを踏んで、2週間かけて結果を確定させる流れです。
国立感染症研究所は現在、感染者全体の4%ほどを抜き出し調査しています。この中で上述の静岡県外のケースが見つかり、更にその濃厚接触者を調べると、たまたま静岡県の人だったということです。
静岡県によると、静岡で特に多いかどうかは、今後の調査を待たないとわからないということです。
田村厚生労働大臣は19日、調査の範囲を広げる考えを示しました。

田村厚労相
「静岡で見つかった件でありますので、見つかったエリアでしっかりとですね、全量はなかなか難しいかも分かりませんが、全ての検体を提出頂いて、しっかりと調査していく必要があると思います。」

■変異ウイルス感染者45人の内訳
一方で、感染者が多い東京都では、独自で変異ウイルスの調査をしています。
これまでに確認されている国内での変異ウイルスの感染者の数は、あわせて45人です。
イギリスや南アフリカで確認された変異ウイルスへの感染が41人。そのうち、空港検疫で30人、空港検疫のあとに11人の感染が判明しています。国内に戻ってきてから発症したり、海外から戻ってくる人の濃厚接触者だったりと、今までは市中感染ではありませんでした。
このほか、ブラジルから羽田空港に到着した4人から、イギリスと南アフリカのものとは異なる変異ウイルスへの感染が確認されています。

■変異ウイルス「従来より50~70%感染が広がりやすい」
イギリスのジョンソン首相は「変異ウイルスは従来より50~70%感染が広がりやすい」と話しています。重症化しやすいかについては調査中です。
イギリスでは13日、1日あたりの死者数が1564人で過去最多となりました。ジョンソン首相は「医療現場への負担がこれほど高まった事はない」とし、ロックダウンの対象を全国に広げました。

■変異ウイルス 52の国と地域で確認
この変異ウイルス、世界では52の国と地域で確認されています。ヨーロッパではほとんどの国で、南米やアジアでも多く確認されています。
アメリカのCDC(=疾病対策センター)は、他のウイルスより拡散しやすい証拠があるとして、3月にはアメリカ国内でも感染の主流になる予測を発表しています。

■ワクチン「予防効果はある」
気になるのがワクチンの効果ですが、製薬大手のファイザー社などは、開発したワクチンはイギリスの変異ウイルスにも予防効果があると明らかにしています。
ただ、変異ウイルスは広がりやすい為、オセロが白黒入れ替わるように、従来のウイルスから変異ウイルスの方が多くなってくる。そのため、ワクチンへの影響も重要になると言えます。

変異ウイルスであっても感染対策は従来と同様です。人が多いところを避け、普段会っていない人と会うのはリスクを高めるのでしばらく控えましょう。基本の感染対策の徹底を続けることが予防となります。

(2021年1月19日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)